上写真=カズは、復興支援チャリティーマッチでJリーグ選抜「TEAM AS ONE」唯一の得点を挙げた(写真◎Getty Images)
J1優勝は柏、仙台は4位に躍進
日本中が混乱と悲しみに包まれた。3月に起きた東日本大震災にサッカー界も大きな影響を受けた。だが、その中で選手やスタッフ、ファン。サポ―ター、すべてのサッカーファミリーがサッカーの価値や役割を再認識し、復興に向けて力強く歩み始めた。
地震発生から18日後に開催されたチャリティーマッチ、Jリーグ選抜対ザックジャパン(日本代表)では、Jリーグ戦選抜のカズが途中出場して日本中の期待に応える。多くの人々に元気と活力を与える希望のカズゴールを届けたのだ(日本代表 2-1 J選抜)。
そして1カ月の中断期間を挟んで再開されたJ1リーグでは、被災地を本拠地を構えるベガルタ仙台が開幕12戦無敗を成し遂げて躍進し、過去最高の4位につけた。とりわけ再開初戦となったアウェーの川崎フロンターレ戦の劇的な勝利は、多くの人に勇気を与えた。
この年のJ1リーグを制したのは、柏レイソル。J2から昇格直後の優勝は、Jリーグの歴史上でも初めてのことだった。名将ネルシーニョ監督の下で攻守にアグレッシブな戦いを披露。リーグMVPには柏の攻撃の中心としてチームをけん引したレアンドロ・ドミンゲスが選ばれた。
Jリーグカップは常勝軍団、鹿島アントラーズが優勝。浦和レッズを延長の末に1-0で下し、9年ぶり4度目の戴冠を果たした。決勝点を挙げたのは大迫勇也だった。
天皇杯は、FC東京と京都サンガによる決勝が行なわれ、FC東京が勝利。ルーカスの2得点など、粘る京都を攻撃力でねじ伏せ、初めて天皇杯を掲げている。
■平成23年度の主な出来事(2011年シーズン)
・1月29日 アジアカップ決勝で日本はオーストラリアを下し、2大会ぶりの優勝
・1月30日 岡崎慎司がシュツットガルト(ドイツ)に移籍
・1月31日 長友佑都がインテル(イタリア)に加入
・2月26日 ゼロックス杯は名古屋が15年ぶりに優勝
・3月5日 Jリーグ開幕
・3月11日 東日本大震災が発生。Jリーグは中断し、Jヴィレッジが原発事故の対応拠点となる
・3月16日 日本サッカー協会がキリンチャレンジカップ(3月25日、29日)の中止を発表
・3月29日 日本代表対Jリーグ選抜による復興支援チャリティーマッチを開催
・4月1日 東日本大震災に伴い、ナビスコ杯を全試合トーナメント制とすることを発表
・4月11日 原発事故に伴う東京電力女子サッカー部マリーゼの活動自粛をリーグが承認
・4月23日 Jリーグが再開。東日本大震災で甚大な被害を受けた仙台が白星
・4月29日 なでしこリーグ開幕
・5月17日 日本サッカー協会が南米選手権の参加辞退を発表
・7月1日 女子W杯のメキシコ戦で澤穂希がハットトリック。代表通算78得点とし、釜本邦茂氏を抜いて歴代トップに
・7月3日 U-17W杯(メキシコ大会)で日本はベスト8。準々決勝でブラジルに敗れる
・7月16日 伊東輝悦がJ1初となる通算500試合出場達成
・7月17日 女子W杯で日本が初優勝。澤穂希は大会得点王、MVPに輝く
・8月2日 なでしこジャパンが国民栄誉賞を受賞
・8月3日 インターハイは桐蔭学園高が初優勝
・8月4日 元日本代表DFの松田直樹氏が逝去
・8月6日 なでしこリーグ、新潟L対INACの一戦に2万4546人が来場し、歴代最多入場者数を記録
・10月12日 日本協会と選手会が、日本代表選手の報奨金を巡り対立で和解が成立
・10月29日 ナビスコ杯は鹿島が9年ぶり4度目の優勝
・11月12日 なでしこリーグ1部でINACが初優勝
・12月3日 J1は柏が初優勝。J2昇格したシーズンのJ1優勝は史上初めて
・12月17日 高円宮杯(U-18)チャンピオンシップで広島ユースが優勝
・12年1月1日 天皇杯はF東京が初優勝(第91回・11年度)
・12年1月1日 全日本女子選手権はINACが連覇達成(第33回・11年度)
・12年1月5日 大学選手権で専修大が初優勝(第60回・11年度)
・12年1月9日 高校選手権は市立船橋高が5度目の優勝(第90回・11年度)