勝ち点差「3」で迎えた水戸と大宮の上位対決。大宮は前半に2失点し、ビハインドを背負って試合を折り返す。後半開始からFWフアンマ・デルガドとMF石川俊輝を投入し、流れを変えようと試みる。53分にMFイッペイ・シノヅカが1点を返すと、3分後にはフアンマ・デルガドのヘディングシュートが決まり同点。さらに、68分にはDF櫛引一紀が右足を振り抜いてゴールネットを揺らし、勝ち越した。アウェーで劣勢をはねのけ、貴重な勝ち点3を手に入れた。

上写真=水戸戦で1ゴール1アシストの活躍を見せた大宮のシノヅカ(写真◎J.LEAGUE)

■2019年10月6日 J2リーグ第35節
水戸 2-3 大宮
得点者:(水)宮大樹、前寛之 (大)イッペイ・シノヅカ、フアンマ・デルガド、櫛引一紀

「勝つために来ている」

「難しい試合だった」(イッペイ・シノヅカ)

 前半を終えて、2点ビハインド。J1昇格に向け、水戸との上位対決に臨んだ大宮だが、アウェーの地で苦戦を強いられた。

 それでも、前半途中にシステムを4-4-2へ変更し、後半開始から2枚替えをして打開を図る。

「フォーメーションを変えて、意識するところも変えて、セカンドボールを拾えるようになった。それで攻撃にも厚みが出たと思う」

 このように戦況の変化を振り返ったMFイッペイ・シノヅカが、53分に反撃の狼煙を上げるゴールを挙げる。DF櫛引一紀からパスを受けると、相手DFをかわして右足を振り抜いた。シュートはサイドネットに突き刺さり、1点差に詰め寄った。

「正直、シュート(の場面)はあまり覚えていないけれど、コースは見えていたし、前が開いたから(ゴールの)隅に入ればいいかなという感じで打ちました。よく入ってくれた」

 さらに、自身のゴールの3分後には、左サイドで相手からボールを奪い、ゴール前のFWフアンマ・デルガドへピンポイントのクロスを供給。フアンマのヘディングシュートがゴールネットを揺らし、ついに同点に追いついた。

「(右サイドのポジションから)左へ行ったことで、(左サイドに)人数をかけられた。それでボールを奪ってクロスを上げたり、良い場面ができたと思います。(アウェーに)負けに来たわけじゃないし、引き分けを狙いに来たわけでもない。勝つために来ている」

 シノヅカの言葉のように、局面でアグレッシブな姿勢を貫いた大宮は後半に主導権を取り戻し、68分のDF櫛引一紀のゴールで逆転。「順位的にも接戦で、本当に勝つしかない状況の中、クシくん(櫛引)もよく決めてくれた。チーム全体で、こうやって得点に絡んでいるのは良いこと。この勝利はたぶん、シーズンの中でも一番大切だったと言えるくらいになると思う」と、勝利を喜んだ。

「ここからがまた勝負ですけれど、1試合ずつ勝っていかないと、J1には昇格できない。だから、今日の試合のように、また勝つだけです」

 大宮をJ1の舞台へ導くために――。7月に横浜FMから加入したロシア育ちのアタッカーは、残り7試合での勝利を誓う。

取材◎小林康幸

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