横浜F・マリノスが敵地でジュビロ磐田を下し、勝ち点3を積み上げた。この日、首位・FC東京がサガン鳥栖に敗れたため、首位との勝ち点差はわずかに1となった。だが、喜田拓也はポイント計算はしていないと話す。残り6戦も、目の前の試合に集中し、一戦一戦戦っていくだけだという。

上写真=ゴールを挙げた仲川を祝福する喜田(右端/写真◎J.LEAGUE)

■2019年10月5日 J1リーグ第28節
磐田 0-2 横浜FM
得点者:(横)オウンゴール、仲川輝人

しびれる試合が続く(喜田)

 横浜FMのアンジェ・ポステコグルー監督は「この時期はどこも勝ち点3が欲しいし、厳しい試合になると覚悟していた」と話したが、実際に残留争いを続ける磐田との対戦では苦しいゲームを強いられた。特に試合の立ち上がり。思うようにパスをつなげず、チャンスの数も限られ、自然、相手ゴールが遠かった。逆に11分には藤川虎太朗に危険なシュートを許し、17分には上原力也の直接FKであわやのシーンを作られている。

 それでもチームは、この時間帯をやり過ごす。焦れずに耐えつつ、好機を待ったのだった。そのプレーぶりにチームの成長を感じたと話したのが、喜田拓也だ。

「難しい相手で、難しい試合になりましたけど、我慢の時間で崩れるんじゃなくて耐えて踏ん張れた。それが、のちの2ゴールにつながったと思う」

 頼れるキャプテンの指摘通り、横浜FMは我慢すべき時間と割り切って開始から30分を過ごし、大きな実りを手にしてみせた。中央エリアに進出した右サイドバックの松原健のスルーパスに仲川輝人が反応。ボックス内のやや右から鋭いグラウンダーのクロスを送ると、自陣ゴールへ戻りながらの対応を余儀なくされた磐田のCB藤田義明のオウンゴールを誘った。

 先制してからも、なかなかゴールを奪えない時間が続いたが、そこでも慌てず騒がす試合をコントロールしていく。そして欲しかった2点を87分に挙げる。途中出場で負傷した遠藤渓太に代わった高野遼が左からに右に大きく展開。パスを受けた仲川が相手DFの動きを見極めて右足を一閃し、試合を決定づけた。

「色んな試合がありますから。自分たちが90分支配して思い通りに、というのが一番の理想形ですけど、やっぱり相手も必死ですし、色んな手を使ってくる。こっちが我慢する時間というのもあると思いますし、勝つためにはそこをどう進めていくか。そういうところも、チームとしての強さにつなげていかなければいけないと思う。チームをまた、大きくしていく上では意味のある試合だったと思います」

 磐田の倍となる12本のシュートを放ったことを考えれば、効率は良くなかったかもしれない。実際に、我慢の時間も長かった印象を受ける。喜田も認めるように決して望んだ試合内容ではないが、それでも勝ち切ることが何より大切だということを、現在のチームは理解している。

「タフになってきているし、経験を無駄にしないというところもみんなの中にはある。みんながチームのために、個人の欲というのは二の次。本当にチームが勝つために、やらなければいけないことがあれば、誰もが率先してやる。そういう人が集まっているし、今日みたいな苦しい試合のときでも、そういうことが結果につながってくると思う」

 喜田は勝利の価値について説明した。この日、同時刻に行なわれていた試合で、FC東京が鳥栖に敗れたことで、横浜FMは首位チームとの勝ち点差を1とした。ただ、そうしたポジティブな状況が訪れても、チームをけん引する男は変わらず冷静だった。

「(勝ち点が)1差になったというのも(取材時点で)僕は知らないので。そんなレベルです。自分たちが勝つことにフォーカスしているし、今日で言えば、だから磐田戦に全精力を注げた。(FC東京が)どこと対戦しているかも知らないし、勝ち点がどうとか、あと何試合でどうという計算もしていない。本当に次、また次って、ただ、しびれる試合が続くと。もう一つも落とせないということだけ」

 経験を重ね、成長してきた横浜FMは今、目の前の試合に全力を注いでいる。残り6戦。その姿勢を続けた先に、待っているのはクラブにとって15年ぶりとなる歓喜か。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE

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