バルセロナの育成組織でプレーした経歴を持つ大宮MFダヴィッド・バブンスキーは、74分にピッチへと入った。持ち前のテクニックを駆使してボールを動かし、ゴールへと迫るも、チームを勝利へと導くゴールを奪うことはできず。試合後は悔しさをにじませつつも、かつてのライバルチームへと旅立つ“後輩”にエールを送った。

上写真=途中出場でゴールを狙った大宮MFバブンスキー(写真◎J.LEAGUE)

■2019年6月29日 J2リーグ第20節
大宮 0-0 金沢

バルセロナの育成組織で育った先輩・後輩

 0-0で迎えた74分、大宮の技巧派MFダヴィッド・バブンスキーが交代出場した。「(ピッチ上に)スペースが多くあったので、そこに入ってチャンスを作ることを意識してプレーしました」とゴールに迫ったが、90分のシュートは枠を外すなど、ネットを揺らすことはできずタイムアップ。「(今日の試合での)ミスから学べることは多くあると思っています。常に僕たちは学んでいかなければなりません。またチャンスが来れば、次はゴールを決めたい」と、次の試合を見据えた。

 そんなバブンスキーは、10代をスペインの名門バルセロナの育成組織で過ごした。ユース時代には現神戸のセルジ・サンペールとプレーした経験も持つ。そして、日本代表で活躍する久保建英は、ともにラ・マシーア(バルセロナの選手寮)で過ごした、いわば“後輩”だ。バルセロナの練習場での記憶をたどり、当時の久保の印象を口にした。

「タケ(久保)は7歳年下で、(一緒に)バルセロナにいたとき、彼はまだ小さかったけれど、よくプレーしている姿を見ていました。ファンタスティックな選手だなと思っていましたね」

 それから月日が流れた今でも、バブンスキーは久保のプレーに注目している。

「日本にとって、とても貴重な選手です。僕も、タケのプレーを楽しんで見ていますよ」

 大宮対金沢戦が行なわれた6月29日、東京・味の素スタジアムではFC東京対横浜FM戦後に久保の壮行セレモニーが行なわれた。この夏、久保がJリーグから世界的名門クラブへと活躍の場を移すからだ。ただ、行き先はかつてのライバルチームでもあるレアル・マドリード――。

 バブンスキーも久保のレアル・マドリード移籍については「もちろん知っているよ」と笑みを浮かべる。そして、こう言葉を続けた。

「すごく注目を集める移籍だと思います。でも、どのチームに行くのかを最終的に決めるのは、タケ自身です。どこでプレーすることになっても、タケが幸せなキャリアを送ってくれるのならば、僕にとってもそれ以上に幸せなことはないですよ。今後の活躍と、タケのサッカーキャリアが最高のものになることを願っています」

 世代は違っても、同じブラウグラナ(バルセロナのチームカラー)のユニフォームに袖を通した後輩の門出を、先輩は愛情あふれるエールとともに祝った。

取材◎小林康幸


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