上写真=途中出場ながらチームをGS突破に導く活躍を見せた長澤(写真◎Getty Images)
■2019年5月21日 AFCチャンピオンズリーグ第6節
浦和 3-0 北京国安(中国)
得点者:(浦)長澤和輝、武藤雄樹、興梠慎三
1ゴール1アシストの大活躍
ぶつかって、押されて、バランスを崩しても簡単に倒れることはない。浦和の長澤は、北京国安(中国)の筋骨隆々な男たちにどれだけ激しいチャージを受けてもびくともせず、1ゴール1アシストの大暴れ。柏木陽介の負傷交代で急きょ出場したにもかかわらず、グループステージ突破に大きく貢献した。ウォーミングアップもままならなかったが、心の準備は万全だった。
「この試合を決めてやる。点を取ってやるという強い気持ち思ってピッチに入った」
その気迫が表れたのが、2点目のアシストにつながるプレーだろう。ブラジル代表経験を持つ186センチ、86キロのレナト・アウグストに体をぶつけられても、ピッチに転ぶことなくグッと耐えた。ハーフウェーライン付近の左サイドからゴール前の中央までボールを運び、フリーの武藤へラストパス。
「サッカーは体の大きさでするものではない。体の使い方が大事です。あの場面は、自分の良さが出たと思います。得点につながる有効的なプレーでした」
172センチ、68キロとサッカー選手としては小柄ながらも、実に堂々としていた。専修大を卒業後、Jクラブを経由せずにドイツのケルンに加入し、タフなブンデスリーガで戦う猛者たちとしのぎ削ってきた。約2年の海外経験は今も生きているという。
大学時代は技巧派で鳴らしたが、当時から倒れない体の強さには定評があった。八千代高時代から体幹トレーニングをずっと欠かさず、背筋を伸ばしてプレーする姿は昔も今も変わらない。ただ、球際の迫力とダイナミックな推進力はドイツでもまれて格段にレベルアップ。激しい球際の争いが多いACLでは、より長所が生きている。
「(ACLは)相手がどんどん突っ込んでくるのでやりやすいところはある」
思い返せば、17年に浦和が2度目のACL制覇を成し遂げたときは背番号15をつけ、優勝メンバーに名を連ねた。体の強さを存分にアピールし、一気にブレイク。「デュエル(球際の戦い)」ができる男として、初めて日本代表に選ばれたのもACLの活躍があったからこそだ。アジアの舞台で輝きを増す男は、決勝トーナメントでもキーマンとなるかもしれない。意気込みは十分。
「浦和はACLのタイトルを取らないといけない。ファン・サポーターもそれを望んでいるはず。全員でチャレンジしていく」
目指すは3度目となるアジアの頂点だ。
取材◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE