上写真=JFLからステップアップしてきた湘南の小野田がJ1初出場で初得点を記録した(写真◎J.LEAGUE)
■2019年3月17日 J1リーグ第4節
湘南 2-1 仙台
得点:(湘)小野田将人、山根視来 (仙)ハモン・ロペス
JFLから2つ飛ばしでJ1初出場初得点
地域リーグでキャリアをスタートした出世魚が、大胆不敵にJ1初ゴールをマークした。プロ5年目で初めてJ1のピッチに立った湘南のCB小野田は立ち上がりから果敢な攻撃参加でゴールに迫る。43分には杉岡大暉の左クロスに勢いよく飛び込み、右足をぐんと伸ばし、スライディングでゴールネットを揺らした。
「無我夢中でした。あまり覚えていませんが、スライディングでゴールを決めた記憶なんてないですね」
3月11日のルヴァン杯第2節・横浜FM戦で「湘南デビュー」を果たし、この日はリーグ戦でも抜擢された。中3日の連戦となったが、持ち味のスピードあふれるオーバーラップを存分に発揮し、曺貴裁監督の期待にしっかり応えた。
「何の迷いもなく、前に出て行ける。これは湘南ならではだと思う。僕自身、やりやすいです」
チャンスをものにした22歳は、異例のステップアップを果たしたシンデレラボーイ。大分・柳ヶ浦高を卒業後、元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーを務めるFC今治でプレー。四国リーグで2年間、JFLで2年間、向上心を持って日々努力を重ね続けた。そして今季、カテゴリーを2つ飛ばして、湘南に加入。「自信はあった」と言うものの、J1にたどり着くなり、すぐさま結果を残した。
試合後、FC今治の岡田オーナーから曺貴裁監督のもとに「“調子に乗るな”と伝えてくれ」と連絡が入ったという。それを聞いた本人は「愛情の裏返しだと思います。得点を取ったらOKではないので」と笑みをこぼした。
喜んでばかりではない。3バックの一角としての反省も忘れなかった。マークを外して失点を許し、「自分の責任」と唇をかんだ。それでも、すぐに前を向き、今後を見据えた。
「試合に絡み続けるようにしたい。先発ならゲームの流れを作り、途中出場なら流れを変えたいです。いつでも100%の力を出せるように準備します」
Jリーガーとして、ようやく第一歩を踏み出した。
取材◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE