上写真=先制点となる直接フリーキックを蹴る中村
写真◎J.LEAGUE
■2019年3月1日 J1リーグ第2節
川崎F 1-1 鹿島
得点者:(川)中村憲剛、(鹿)伊藤翔
リーグ3連覇を狙う川崎Fは、開幕から2試合連続の引き分け。9分、中村憲剛の直接FKで先制点を奪ったが、21分に鹿島の伊藤翔にゴールを献上。後半も攻め立てたが、2点目を奪えなかった。鹿島は2戦勝ちなし。攻撃が噛み合わず、シュート5本に終わった。
すべてのフィーリングが合った
人壁のわずか上を抜けると、きれいにゴール左隅に吸い込まれる。鹿島の韓国代表GKクォン・スンテは一歩も動けず、軌道をただただ見守るしかなかった。川崎F一筋で17年目を迎える中村は、今季初ゴールとなる直接FKを笑顔で振り返った。
「ゴールを決めて、悪いことはひとつもない。ボールをセットした瞬間、ここに蹴れば入ると思った。すべてのフィーリングが合った。FKが入るときは、そんなもの」
38歳のプレーに衰えなど微塵も感じない。先制点を生んだシュート精度だけではなく、前線で走り回り、守備のスイッチも入れた。後半85分にはカウンターのピンチをファウルになっても激しいチャージでつぶす。守備のタスクを免除された、ただのベテランの司令塔ではない。深い位置まで下がり、パスを散らしたかと思えば、前線まで飛び出してゴールまで狙う。03年にプロデビューして以来、J2時代を含めれば17シーズン連続でゴールをマーク。「え、そうなんだ」と素っ気なかったが、口元はわずかに緩んでいた。
鹿島戦ではリーグ通算5点目。すべてホームの等々力で決めているのもワンクラブマンの縁か。他クラブのベテランたちが「楽しそうにサッカーをしている」とうらやむ男は、2019年もピッチで躍動している。2試合連続のドローには「やっぱり勝ちたい。勝ち点1では満足できない」と渋い顔を見せたが、その存在感は際立っていた。
取材◎杉園昌之