上写真=大卒ルーキーながらポジションをつかみ、今季のチームを支えた守田(写真◎J.LEAGUE PHOTOS)
中村、大島を見て学んだ
大卒ルーキーの守田英正は、リーグ2連覇を成し遂げた川崎Fの新しい血となった。
優勝が決まったC大阪戦の先発メンバーに昨季、リーグ制覇を経験した選手が10人も並ぶなか、ただ一人新人で名を連ねた。隣には大島僚太、前には中村憲剛。日本指折りのゲームメーカーをお手本にしながら、向上心あふれるボランチは見て聞いて学び続けた。エドゥアルド・ネット(現名古屋)と比較される重圧をプラスに変えて、努力を重ねた。
「(中村、大島のプレーは)練習からずっと観察しています。どのタイミングで縦パスを入れるのか、どのようにパスを散らしているのか。視野もそう。敵を見る、周りを見る目が大事なので」
4月14日の仙台戦で初先発を果たすと、チームに欠かせぬ歯車となっていく。それ以降、18試合に先発出場し(途中出場含めて24試合)、W杯中断明けの追い上げにも大きく貢献。9月には森保一監督が率いる新生・日本代表にも初選出され、デビュー戦まで飾っている。
「ほかのプロ1年目の選手に比べると、充実したシーズンだったかもしれない。それでも、フロンターレのスタメンとしてはまだまだ」と浮かれた様子はない。自身初優勝を果たし、喜びに浸ったのもつかの間、すぐに次の目標を口にしていた。
「次は複数タイトルがほしい。一発勝負のトーナメントでも勝ちたい」
どこまでもどん欲だ。今年2月、新体制会見の壇上で「モリタ100パーセントです」とお笑い芸人をまねた挨拶で、乗っけからファン・サポーターを笑わせた男の続きの言葉をふと思い出した。
「タイトルを総なめにするように頑張りたい」
決まりきった定型の挨拶だったかもしれないが、Jリーグを制覇した後も、その思いは変わっていない。
伸び盛りの23歳。川崎Fのなかで存在感が増していくのはこれからだ。
取材◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE PHOTOS