決意に満ちた表情で就任会見に臨んだ森保新監督。1時間ほどの会見のなかで、抱負などを語った 写真◎福地和男/BBM

7月26日、日本サッカー協会が東京都内のホテルで記者会見を開き、森保一五輪代表監督が、A代表の監督に就任し、両代表チームの監督を兼任することが発表された。以下が、その会見要旨。

「日本人らしく、日本人の良さを出す」

このたび、日本代表監督に就任させていただいた森保です。よろしくお願いします。

東京五輪代表監督も兼任させていただきながら、日本サッカーの発展に貢献していきたいです。二つの代表監督を務めるのは困難なことだと思います。一人でやるのは不可能かもしれませんが、日本サッカーを支える皆さんの力を借りれば、不可能が可能へと変わると思います。

日本代表だけでなく、日本サッカー界全体の発展につながるように、多くの先輩からバトンを受け継いできました。任務を全うして次の人にバトンタッチできるように、今を頑張っていきたい。

本当に覚悟が必要なことだし、また、日本代表が多くの人に支えられているという感謝の気持ちもあります。『覚悟』と『感謝』の二つを持ちながら、職務を全うしたい。今は感謝の気持ちがすごく強いです。今回も素晴らしい仕事をいただきました。私が大好きなサッカーに携わって仕事ができるのも、日本サッカー協会の方々の覚悟と期待があるからこそ。その覚悟と期待に応えられるように、自分の力のすべてを出して、職責を全うしていきたいと思います。

私が高校を卒業して(地元の長崎から)広島へ出て行ったときは、まだ(日本サッカーは)アマチュアの日本リーグ時代でした。それからJリーグができて、日本代表でもプレーし、Jリーグでも監督をさせていただいた。その経験があるからこそ、今この場所にいられるのだと思います。本当に感謝しています。

これまでに、いろいろな年代、カテゴリーの活動を見させていただきました。グラスルーツのところでは、プロ指導者としてサッカーを教えている人はほんのわずかで、多くは仕事もあり、家庭もあり、自らのチームを見て、トレセンも見ています。ボランティアの精神、自己犠牲の精神で、選手を育ててくださっています。そういうところから選手が育ち、いま仕事をさせていただいている代表チームへと送り込まれるのです。そういった素晴らしい指導者の皆さんの気持ちをいつも背負って戦うことを肝に銘じていきたいと思います。

(ロシア・ワールドカップを指揮した)西野(朗)前監督は本当にすごい、素晴らしい監督です。いろいろな方々が積み上げてきた日本サッカーの歴史を踏まえて、“日本らしいサッカー”をするチームを作りました。日本人に足りない、デュエルやゴールに素早く向かっていくことについても考えていました。日本人にどうしたら合うんだろう、と。それを常に考えて、チームづくりをされていると感じていました。そんな西野前監督からバトンを受け継ぎ、日本人らしく、日本人の良さを出して、世界と向き合っていきたいです。

ただ、世界の前にアジアがあります。しっかりとしたチーム作りをして、まずはアジアを戦い抜き、そして世界との戦いに向かっていきたい。西野前監督が行なった“オールジャパン”で戦うチーム作りを継承して、東京オリンピックまでの2年間、次のカタール・ワールドカップまでの4年間、選手やスタッフとともに、最高のチームを作り上げていきたいです。しかしながら、われわれだけでは強い日本代表は作れません。皆さんのすべての力を結集して、われわれと一緒に戦っていただければと思っています。

「対応力と臨機応変さをもっと磨きたい」

日本代表監督就任が正式に決まったのは今日(7月26日)です。田嶋(幸三)会長から正式に話をいただき、即決で決めさせていただきました。それまでにもいろいろと話をいただいていたので、自分の考えをまとめたり、家族などに相談したりもしました。本当に重責だな、と。東京五輪代表監督だけでも重責だと感じていたけれど、A代表の監督も兼任することは自分にはできるのかなと思いました。大変なことをやらなければならない。でも、覚悟を持ってやれば必ず成し遂げられると思って、話を受けました。

(ロシア・ワールドカップで感じた)足りないところはすべて改善していかなければなりません。個のレベルアップはもちろんのことです。われわれのことだけを考えれば、これまでやってきたことだけで満足できるかもしれませんが、世界はもっと進化していく。そのなかで、追いつけ、追い越せとやっていかなければなりません。

(選手選考に関して)この世界は競争があるし、魅せられる選手、走れる選手、実力がある選手が生き残れる世界だと思っています。そのなかで、年代間の融合をしっかりはかりつつ、新しい日本代表を築きあげていきたい。経験を積んだベテランが持っているものを、次の世代の経験が浅い選手に伝えてもらい、五輪代表のなかからA代表に行く選手が出てきてもらいたい。そうなれば、今度は五輪代表に招集できる新たな選手がまた下の年代から出てくる。A代表と五輪代表、そして五輪代表とその下の世代の代表の融合も目指しています。

西野ジャパンのコーチとして(ロシア・ワールドカップに)帯同し、日本人のメンタリティーと身体能力を生かす大切さを強く感じました。海外から学ぶことも大切ですが、そういうものを生かして戦うことも大切です。みんな、自分が成功したい、自分が試合に出たい、という思いを持っているでしょうが、お互いを尊重して、チームの結果のために絆を持って戦うメンタリティーは、ロシア・ワールドカップですごく感じました。そういうところを継続し、一体感が常にあり、攻守ともに連動するようなチーム作りを意識してやっていきたいです。

攻撃では速攻もできれば、遅攻もできる。守備ではハイプレスもできれば、自陣で守りを固めて相手の思うようにさせないこともできる。つまり、いろんな対応力を持って、臨機応変に選手が判断していけるチームを作りたい。“対応力”と“臨機応変さ”はもっと磨いていきたいです。(優勝した)フランスもそういう戦い方をしていたし、勝つために必要なことを世界のサッカーから学んでいきたいと思います。

任期があるからといって、安泰だとか、そういうことは思っていません。常に一日一日、一試合一試合が勝負だと思っています。スタッフなどはまだ白紙ですが、これから時間をかけて人選をしていきたいと思っています。

森保一体制 今後の日程

◎日本代表(A代表)
■キリンチャレンジカップ
2018年9月7日 vs チリ(札幌)
   9月11日 vs コスタリカ(大阪)
   10月12日 vs パナマ(新潟)
   10月16日 vs 未定(埼玉)
   11月16日 vs 未定(大分)
   11月20日 vs 未定(豊田)
■アジアカップ(UAE)
・グループステージ(グループF)
2019年1月9日 vs トルクメニスタン
   1月13日 vs オマーン
   1月17日 vs ウズベキスタン
・ノックアウトステージ
   1月20日~22日/ラウンド16
   1月24日~25日/準々決勝
   1月28日~29日/準決勝
   2月1日/決勝
 
◎U-21代表(東京五輪代表)
■アジア競技会(インドネシア)
2018年8月18日~9月2日
■海外遠征(未定)
   12月10日~12月19日


This article is a sponsored article by
''.