■2018年7月18日 J1リーグ第16節
柏 0-1 FC東京
得点者:(F)オウンゴール
※試合後、FC東京の両翼を務めた小川(右)と太田が勝利に安堵の表情を浮かべる。写真◎J.LEAGUE PHOTOS
ロシア・ワールドカップでの中断期間を経て、J1リーグが再開した。アウェーで柏と戦ったFC東京は、前半から柏陣内に攻め入る。試合開始早々には右サイドバックに入った小川諒也が左足でシュートを放つも、日本代表GK中村航輔の好守に阻まれた。スコアレスで迎えた61分、右サイドを抜けた東慶悟がゴール前へクロスを送ると、柏DFが対処しきれずオウンゴール。これが決勝点となり、FC東京がリーグ戦3試合ぶりの白星を手に入れた。
長谷川監督「左利きが右サイドバックもできるでしょう」
「右利きの選手が左サイドバックをやる時代なんだから、左利きの選手が右サイドバックもできるでしょう」
試合後、長谷川健太監督は笑みを浮かべながら、選手起用について言及した。話題の中心は小川諒也だ。
小川は流経大柏高校時代から、その正確かつパワフルな左足のキックを売りとしてきた。ポジションは左サイドバック、もしくは左サイドハーフ。右サイドなんてほとんど経験したことがない。「昨年、10分くらいやっただけですかね」と、本人も右サイドでのプレーの記憶があいまいだ。
長谷川監督が右サイドバック起用を本人に伝えたのは前日のこと。
「前日の練習で、右サイドバックに入ってくれ、と言われました」
突然の指示にも、慣れないポジションで慌てることはなかった。
「マッチアップするのがクリスティアーノ選手なので、とにかく守備に重点を置くことを意識しました。みんなも助けてくれたので、やりやすかった」と、手ごたえもつかんだ。
取材中には、左サイドバックの太田宏介から「右サイドバック、人気者だな!」と、声をかけられる一幕もあった。小川の顔に笑顔が浮かんだ。
ケガ人などにより、苦しい台所事情で戦ったJ1再開後初戦で、アウェーゲームを物にした。
「厳しいメンバー構成の中で、選手たちが粘り強く戦ってくれた」(長谷川監督)
「このメンバーで勝てたのが、非常に大きい」(東慶悟)
もちろんこの勝ち点3はとても大きいが、小川の右サイドバックというオプションが増えたことも、J1優勝戦線を戦うFC東京にとって、一つの収穫となったことだろう。
取材◎小林康幸