柏が競り勝ち、連敗を2でストップ。序盤から素早いプレスでペースを握った。敵陣でボールを奪い、ショートカウンターで何度も好機を作った。後半になっても足は止まらなかった。72分には左クロスを江坂任が頭で中央に折り返すと、中川寛斗が落ち着いてゴールへ流し込んだ。終盤はこの1点を守り切り、3戦ぶりの白星を手にした。浦和は5試合ぶりの敗戦。オズワルド・オリヴェイラ新監督は初陣を勝利で飾ることはできなかった。

■2018年4月25日 J1リーグ第10節
柏 1-0 浦和
得点者:(柏)中川寛斗
    (浦)なし

「僕が出る以上、やることは決まっている」

追って、追って、追いまくる。息つく暇もないのようなハイプレスだった。最前線で最後まで駆け回った中川と江坂が守備のスイッチを入れ、浦和のミスを誘発。面白いようにショートカウンターがはまり、相手を圧倒した。試合後、下平隆宏監督が真っ先に褒め称えたのも執拗なフォアチェック。
「泥臭くて、大変なタスクを遂行してくれた。(中川)寛斗はゴールまで取ってくれて勝利に貢献した」

相手のバックスパスがGK西川に渡るたびにスプリント。3バックが開いてボールを動かしても、またスプリント。2度追い、3度追いは当たり前と言わんばかりに走っていた。

走行距離は11.881km。
スプリント回数は36回。
ともに両チームトップの数字だ。

155センチの小回りが効く突貫小僧は「僕が(試合に)出る以上、やることは決まっている」ときっぱり言い切る。勝利から遠ざかっていたチームにもメッセージを送っていた。

「原点に立ち返れた。一人ひとりが走って勝利をものにする。これが柏レイソル」
柏の下部組織で育ってきた23歳。その言葉には説得力がある。

自らの決勝ゴールよりも1-0のスコアシートに価値を見いだす。「ゼロが大きい」。FWらしかぬセリフに献身的すぎる男のこだわりがにじんでいた。

 
文◎杉園昌之 写真◎Getty Images
 


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