■J2リーグ 開幕節
水戸 3-0 山形
得点者:(水)ジェフェルソン・バイアーノ2、黒川淳史
(山)なし
2年後への決意を胸に、水戸での活躍を誓う
20歳の若武者が、水戸に4年ぶりとなる開幕戦勝利をもたらした。
2トップの一角として先発出場した岸本武流は、開始直後に右サイドで粘ってCKを得ると、MF木村祐志が蹴ったボールをニアサイドですらしてFWジェフェルソン・バイアーノの先制ゴールをアシスト。23分にはDF福井諒司からのロングボールを前線で収め、MF黒川淳史の追加点をお膳立てした。
さらに後半には、ドリブルでペナルティーエリアに侵入してPKを獲得。ジェフェルソン・バイアーノによるチーム3点目を呼び込んだ。
自身初となるJ2の舞台で、全得点に絡む大活躍。それでも、本人はこの日の出来を「60、70点くらいですね」と謙遜する。「あそこで決めたら、90点まで上がっていました」と振り返るのは、83分の決定機。FW宮本拓弥からゴール前で絶好のパスを受けるも、シュートを外してしまい、頭を抱えた。「絶対に決めなあかんし、(パスを出してくれた宮本選手に)申し訳ないです。次への課題ですね」と、反省した。
初ゴールを狙う次節は千葉とのアウェーゲーム。昨季6位で昇格プレーオフに進出した強豪にも、「ガツガツ食っていきたい」と物怖じする様子はない。「絶対に優勝したいんです。J1ライセンスを取って、昇格できるように、勝つことが当たり前のチームにしたい」と、目標は高い。今季、並々ならぬ覚悟を持って水戸にやってきたのだから、本人にしてみれば当然のことなのだろう。
「(昨季まで在籍したセレッソから)出るということで、僕の中では命がけでやっているような感じ。でも『絶対にやらなあかん』という感じが僕は好きなので、それが楽しいというか、良い刺激になっています。(セレッソの好調ぶりは)刺激だし(今季)また新たなFWが加入したけれど『俺を出したことを後悔させたるで』くらいの気持ちでやりたいですね。そういうことを言えるくらいの結果を、ここで出したい」
そして、岸本の目は、もうひとつの目指すべき場所を見据える。2年後に迫った東京オリンピックだ。「それを目指すために水戸に来たようなもんなんで、絶対にここで結果を出して、認められて、また代表に戻れるように頑張りたい」と、言葉を強める。
そのためには、昨シーズンに同じ水戸でブレイクしたFW前田大然(現松本)以上の活躍を見せることが必要だ。
「(前田よりも活躍することが)東京オリンピックへ行くための絶対条件だと思っているので、『前田よりいいな』と言われたいですね。ここでチャンスを物にして、東京オリンピックには“水戸の選手”として出場したいなと思います」
J1の舞台を目指す水戸とともに、岸本の新たな挑戦が幕を開けた。
文◎小林康幸 写真◎J.LEAGUE PHOTOS