編集部の独断で、2017年のサッカー界においてシーンを賑わせた人を紹介するこのコーナー。今回はU-20代表として世界に挑み、柏の躍進を支えた若きDFを取り上げる。

12月2日にJ1最終節を終えた後も、中山に休む間はない。2日後には今季より新設されたヤングガンアワードの11人に選出され、都内で行なわれた表彰式に参加すると、その翌日には横浜アリーナでのJリーグアウォーズのステージに登壇していた。

「非常に光栄だし、うれしい。僕だけじゃなくて今まで本当にたくさん応援してくれたサポーターやチームメイト、たくさんの方々の力があってこそなので、本当に感謝したい」と、ベストヤングプレーヤー賞に輝いた喜びを口にした。

これらの賞を獲得するほど、2017年の中山は、20歳前後のいわゆる〝若手選手〟の中でも別格とも言える活躍を見せた。リーグ戦では出場停止と、U-20W杯出場のためにチームを離れた期間を除いて、すべての試合に先発出場。柏がリーグ4位の成績を収められたのも、中山の成長が一つの要因となったことは間違いない。

なかでもその能力を示したのが、20節の神戸戦(○3-1)だった。センターバックでコンビを組むDF中谷進之介、ゴールマウスを守るGK中村航輔と形成する『N3』のトライアングルで、元ドイツ代表FWポドルスキに仕事をさせなかっただけでなく、76分にはペナルティーエリアの外側で左足を一閃。「まぐれかもしれないけれど、そのまぐれの一本がイメージと一致した」という美しい放物線は、黄色く染まったスタンドの目の前で、ゴールネットに吸い込まれた。精度の高いキック、的確なポジショニング、そして一瞬のひらめき。今季挙げた唯一のゴールには、中山の攻撃センスが凝縮されていた。

茨城県の公立中学校の部活でプレーしていた中山が柏の門を叩いたのは中学3年生のとき。茨城県選抜の一員として柏U-15と練習試合を行なったことがきっかけだった。「茨城県選抜にとんでもないやつがいた!」と、そのプレーを目の当たりにした柏U-15のスタッフは目を丸めたという。そして、その年の途中で黄色いシャツに袖を通し、柏U-18を経て、トップへの階段を駆け上がった。

高校時代から世代別代表にも名を連ね、今年5月にはU-20W杯に臨んだ。チームはベスト16に終わったが、大会のベスト4のうち3カ国(ウルグアイ、イタリア、ベネズエラ)と対戦できたことは、大きな財産となった。

「試合を重ねるごとに自分が成長している部分や課題が見えてきた。高いレベルになると相手がこちらの甘さに付け込んでくることを感じたので今後に生かしていきたい」

次なるステップと見据えているのは、もちろんA代表だ。U-20W杯で得た経験と自信が、その思いを駆り立てる。

「U-20W杯に行ってから(A代表でプレーしたいと)強く思っているし、世界に出たらこの世代でもA代表に入るのが普通。まだ力が足りないことも受け止めつつ、自分でも食い込んでいかなければいけない世代だと自覚している」

来年には、ロシアW杯が控える。

「(出場する)チャンスは小さいかもしれないけれど、しっかり結果を出しつつ、自分が成長して、一日でも早くA代表に行きたい」

過去には小野伸二(現札幌)や森本貴幸(現川崎F)らが、大会直前に20代前半で初招集を受け、本大会にも参加している。中山にもまだ、チャンスはあるだろう。

柏から世界へ――。日立台に歓喜をもたらす若き才能は、2018年さらなる高みを目指す。

◎プロフィール
なかやま・ゆうた/1997年2月16日生まれ、茨城県出身。中学時代に柏アカデミーに入り、2015年にトップチーム昇格。翌シーズンからレギュラーに定着した。CBだけでなく、SBやMFなど、複数ポジションをこなせる器用さも魅力の一つ。181cm、76kg

文◎小林康幸[サッカーマガジン編集部] 写真◎KASHIWA REYSOL


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