上写真=メンバーに選ばれたことに感謝し、大会で力を示したいと語った福田師王(写真◎飯尾篤史)
板倉滉からのアドバイス
神村学園高からドイツのボルシア・メンヘングラードバッハに加入して約3カ月。超高校級ストライカーとして脚光を浴びた福田師王は、体つきが少し大きくなっていた。
「こっちに来て筋トレの量を増やしました。体重も3キロぐらい増えましたね。なかでも重点的にやったのは下半身、お尻の部分。ドイツのグラウンドはぬかるんでいるし、芝が悪いので、それに耐えられるように鍛えました」
主に出場しているのはU-19チームのゲーム。加入当初は縦に早いスタイルに慣れず、60分で足が攣ったこともあったが、今では主力選手としての地位を確立。高校時代から絶対の自信を持つ武器を生かして、ゴールを積み重ねている。
「動き出しは通用するという感覚があります。戦術ボードを使ってチームメイトに自分の動き出しを説明したこともありましたけど、点を決めたら、ボールが自然と出てくるようになった。良いボールが来れば、決められる自信はあります」
さらに、ドイツに渡って成長した点として、“手の使い方”を挙げた。
「寮の部屋からトップチームの練習が見えるんですよ。そこで(フランス代表FWのマルクス)テュラムがクロスに入るときに手を使って相手のバランスを崩してフリーになって勝つ確率を上げているのが見えて。板倉(滉)さんからもそういう話を聞いて、ありがたいです」
こうしたエピソードひとつとっても、素晴らしい環境に身を置いていることが分かる。
欧州挑戦の影響で今年3月に開催されたU20アジアカップに参加できなかっただけに、U-20ワールドカップに向けて特別な思いもある。
「アジア予選を勝ち抜いてくれたメンバーに感謝したいし、選んでくれた(冨樫剛一)監督にも感謝したい。恩返しをしたいですね」
チームには熊田直紀(FC東京)、坂本一彩(ファジアーノ岡山)という優れたストライカーがいるが、「まったく意識していません」ときっぱりと言った。
「自分が点を決めて勝つことしか考えていません。僕の得点で勝つイメージです。ワールドカップは昔から憧れていたし、海外で成長した姿を見せたいですね」
そう語る“遅れてきたエース”が5月21日18時(日本時間22日6時)キックオフのセネガル戦でいよいよ世界デビューを果たし、チームを勝利へと導く。
文・写真◎飯尾篤史