上写真=コスティッチのゴールを喜ぶ鎌田大地(写真◎Getty Images)
長谷部は終盤に登場
第1レグをホームで引き分け、敵地に乗り込んだフランクフルトが思わぬ形で先制した。右からのクロスが相手に当たって高く舞い上がったところ、落下地点にいたイェスパー・リンストロームがボックス内でエリック・ガルシアに倒されてPKを獲得。これをフィリップ・コスティッチが右隅にきっちり蹴り込んだ。
合計スコアで勝ち越しに成功したフランクフルトは守備の局面では5-4-1で構え、相手をしっかり捕獲してバルセロナの自由を奪っていった。そしてボール奪取に成功すると、一気のカウンターで前進し、ゴールに迫ってみせる。
ポイントは全体が引き過ぎず、最終ラインの5人が横幅をしっかり埋め、その前に並ぶ4人が機に臨み、プレスをかけてボールホルダーを捕獲したことだろう。36分、敵陣左サイドで人数をかけてボール奪取に成功すると、その流れからFWラファエル・サントス・ボレが強烈なミドルシュートを叩き込み、2-0とバルセロナを突き放した。
予想を覆す展開で迎えた後半も、フランクフルトは鋭いアプローチでボールを奪い、攻撃につなげていった。すると67分に試合を決定づけるゴールが生まれた。自陣左サイドで鎌田がスライディングでボールを奪い、カウンターを発動。パスをつなぎながらもクリアにあってボールは逆サイドのタッチラインを割った。しかし、スローインから左に展開すると、鎌田がワンタッチで左にボールを流し、これをコスティッチが冷静にシュート。フランクフルトが3-0とさらにリードを広げた。
78分にカットインから惜しいシュートを放つなど、シャドーで先発した鎌田は徹頭徹尾、意欲的なプレーを披露。3点目のアシストなど、状況を判断する力と高い技術が光った。攻撃でも守備でもチームに欠かせない存在であることを示したと言える。
アディショナルタイムの90+1分にセルジ・ブスケツに目の覚めるようなミドルシュートを叩き込まれ、バルセロナに1点を返されたフランクフルトは、アルマミ・トゥレに代わって長谷部誠を投入し、守備の安定をはかった。それでも最後の猛攻を仕掛ける相手の勢いを止められず、90+11分にはメンフィス・デパイにPKを決められて1点差に詰められた。だが、その直後に試合終了の笛が鳴る。フランクフルトはプラン通りのゲーム運びで2試合合計スコア4-3とし、勝ち抜けを決めた。
ポゼッションは25%で、相手にボールを握られ続ける展開だった。しかしフランクフルトは焦らず、慌てず、終始自分たちのプレーに集中していた。堅い守備から素早い切り替えでゴールに迫り、結果、シュート数では15本対10本と相手にまさっている。先制、加点、さらなる追加点とゴールを重ね、国内リーグ戦とカップ戦も含め15戦無敗だったバルセロナを破ってみせた。
難敵との準々決勝を乗り越えたフランクフルトは、2018-19シーズン以来のベスト4に進出。チェルシーにPK戦の末に敗れた雪辱を晴らす機会を得た。相手はあのときと同じイングランドのチーム、ウェストハムに決定。初の決勝進出をかけて4月28日(第2レグ:5月5日)に対戦する。