上写真=大会を通じて輝き続けた藤田譲瑠チマ。キャプテンとしてチームへの思いを語った(写真◎Getty Images)
■2024年8月2日 パリ五輪・準々決勝(@スタッド・ドゥ・リヨン)
日本 0-3 スペイン
得点:(ス)フェルミン・ロペス2、アベル・ルイス
「本当に情けないですけど…」
左サイド深くで斉藤光毅が収め、大畑歩夢に戻したとき、中央にいた藤田譲瑠チマはボールに引き寄せられていく相手の動きをよく見て、すっと前に出た。そこに大畑がボールを預けてくれた。
すると素早くペナルティーエリア中央の細谷真大の足元に鋭く差し込んだ。バルセロナに所属するDFパウ・クバルシの背中からのプレッシャーを跳ねのけた細谷は、力強くターンして右足でシュート、股下を抜いてゴール左に蹴り込んだ。
同点、と思われたが、細谷の足がほんのわずか出ていてオフサイドでゴールは認められなかった。
ただ、ここに藤田のセンスが光った。相手を見て逆を取り、ボールを受けて最も危険な場所に素早くボールを突き立てる。このチームのキャプテンにして、中盤の中央に立ってマエストロ(指揮者)の役割を果たす背番号8は、この大会で輝き続けた。
「ここまで優勝を目指してやってきて、でも本当にスペインも強かったし、自分としてはもっとできないといけなかった。本当に情けないですけど、みんなとここまで戦えてよかったです」
グループステージでは無失点で3連勝の首位突破。半田陸、平河悠と負傷者が出ながらもチーム一丸で戦ってきた。快活で明朗な藤田のキャプテンシーがそこにはあった。素晴らしいチームのムードを「愛」と表現した。
「みんながチームのことを愛していて、チームのために戦える集団でした。それを決勝戦まで、優勝まで皆さんに見せたかったんですけど、まだまだもっと強くなる必要があると感じます」
年代別の代表としては、これが最後の試合になった。パリ・オリンピックのベスト8。サッカー人生はここからが本番である。
「こういう強いチームに負けないように、個人としても本当に強くなる必要があると思いますし、 自分としてはもっと上のリーグだったり、上のレベルでサッカーをして成長したいと思います」
悔しいままでは終われない。