上写真=後半アディショナルタイムに決勝点をスコアした山田楓喜を仲間が祝福(写真◎AFC)
■2024年5月3日 AFC U23アジアカップ決勝
U23日本 1−0 U23ウズベキスタン
得点:(日)山田楓喜
終了間際に激しく試合が動く
日本が、劇的な優勝を飾った。
序盤からウズベキスタンの固い守備と鋭い攻めに苦しんだ。日本のチャンスは限られ、前半は完全に相手のペースだった。後半、やや盛り返し、日本が攻めの回数を増やす。
それでも互いにネットは揺らせず、試合はアディショナルタイムに突入。延長戦もちらつき始めたが、スコアは動いた。90+1分のことだった。
敵陣に入ったところでCBの高井がボール奪取に成功。そこから藤田、荒木とつながったボールをボックス外で途中出場の山田が受け、狙いすまして左足を振り抜く。シュートがゴール右下に突き刺さり、日本が先制点を手にした。
しかし、試合はそのまま終了とはならなかった。90+7分、日本がウズベキスタンにPKを与えてしまう。左サイドから上げられたクロスを空中で競り合った際に、ジャンプした関根の左腕に相手がヘディングしたボールが当たった。故意ではなかったものの、オン・フィールド・レビューでPKの判定が下った。
勝利目前という状況から一転、日本は大きなピンチを迎えた。
ただ、文字通りの守護神がいた。今大会、何度も好守でチームを救ってきたGKの小久保玲央ブライアンが立ちはだかる。ラフモナリエフのキックを読み切り、右に飛ぶと、見事にボールをはじき出した。
その直後から3回続いたウズベキスタンのCKにも抜群の反応を示し、ゴールを死守。15分あまりあったアディショナルタイムを高い集中力で戦い抜き、8年ぶり2度目のアジア制覇を成し遂げた。
大岩剛監督は大会前から五輪出場権の獲得のみならず、優勝を目標に掲げていたが、同時にその難しさも口にしていた。当初、1月に開催予定だった今大会は延期され、4月開幕となり、各国リーグの開催時期と重なり、選手の招集が制限されることになった。実際、メンバーに欧州組が多い日本は、2022年3月の始動から積み重ねてきた力をそのまま発揮するのが難しい状況だった。
その中で五輪出場権を獲得し、アジアの頂点に立った。
「非常に厳しい試合で、選手がよく頑張ってくれたと思います。選手だけではなく、スタッフ含めて全員で戦ってきました。大いに喜んでパリオリンピックに向かいたいと思います」(大岩監督)
日本は8大会連続出場を決めて歴史をつなぎ、2年前の大会で0−2で敗れたウズベキスタンに雪辱し、厳しい試合を乗り越えてアジア王者となった。
「国民の皆さんに、非常に心配させたり、ヒヤヒヤさせたりしたと思いますけど、これでアジア・チャンピオンとしてパリ・オリンピックに迎えますので、再度、われわれの背中を押していただければうれしいです」(大岩監督)
平坦な道ではなかったからこそ、チームは大きな成長を遂げた。次は7月のパリ・オリンピック。56年ぶりのメダル獲得を目指す。
▼出場メンバー
・U23日本◎GK小久保玲央ブライアン、DF関根大輝、高井幸大、木村誠二、大畑歩夢(90+4分:内野貴史)、MF山本理仁(71分:川崎颯太)、藤田譲瑠チマ、藤尾翔太(62分:平河悠)、松木玖生(62分:荒木遼太郎)、佐藤恵允(71分:山田楓喜)、FW細谷真大