5月3日(日本時間・24時30分)、U―23日本代表は『AFC U23アジアカップ』の決勝・U―23ウズベキスタン代表戦に臨む。準決勝でU−23イラク代表を破り、すでにパリ五輪出場権を獲得しているが、チームが目指すのはあくまでアジアの頂点だ。2年前の悔しさを晴らしてカップを掲げられるか。現地から直前のチーム状況をリポートする。

上写真=大岩監督と藤田主将が前日会見に出席。ウズベキスタンからはカパーゼ監督、ジャロリディノフが登壇した(写真◎Getty Images)

大会前から優勝を目指す

「パリ五輪につながるとは思っていない」

 2日の公式記者会見にて、U-23日本代表の大岩剛監督は「AFC U23アジアカップ決勝を、パリ五輪へどうつなげる試合にしたいか」という質問を一蹴してみせた。

 その心はシンプルで、そもそも「我々はこの大会の優勝を目指してきた」(大岩監督)という大前提だ。パリ五輪切符を手にしたことで、メディアの報道も「五輪本大会」にフォーカスするものが飛び交うようになった。そんな空気感に対して釘を刺す意図があったのだろう。

 日本の指揮官は続けてこうも語っている。

「ここまで勝ち上がってきた自信を持って、素晴らしい相手と素晴らしい試合にしたいという一心で決勝戦に向かっていきたい。スタッフ選手全員で勝利を収めたい」

 あくまで照準は目前のファイナル。アジア王者になることにフォーカスして、試合への準備を進めてきた。

 予選突破が決まり、決勝戦へのモチベーションそれ事態を疑う向きもありそうだが、この点については団長としてチームに帯同してきた山本昌邦ナショナルチームダイレクターの意見を聞いてみた。

 山本団長は、今から28年前、1996年のアトランタ五輪予選にU-23日本代表のコーチとして参戦(監督は後のA代表監督である西野朗氏)。集中開催のカップ戦方式で行われた当時の予選で、日本は準決勝でサウジアラビアを撃破し、28年ぶりの出場権を獲得する快挙を為し遂げた。

 この突破は日本サッカーにとってエポックメイキングな勝利となるのだが、その直後に行われた韓国との決勝では、それまでの鬼気迫る空気感が嘘のような試合をして敗戦。準優勝に終わっている。

 当時について山本団長はこう語る。

「あのときは次が決勝だという話になったとき、選手たちの反応は『なんで決勝があるんだよ』という感じだったんですよ。もう五輪に出ること自体が最大の目標でしたから」

 つまり、『目標は達成したのに何でまだ試合あるの?』という感覚だったわけだ。ただ、「いまの選手たちは違う」とも言う。

「彼らは五輪出場を『最低目標』だって言うんですよね。それこそ日本サッカーが積み上げてきた歴史の成果だと思うし、彼らは優勝しないと評価されないと思っている。五輪出場は最低限でしかないわけですから」

 五輪出場は通過点ならば、当然ながら次の目標はアジア制覇である。実際、試合後のロッカールームではさっそく選手たちから「次は決勝だぞ」という声が自然と沸き起こり、大岩監督もまた「ウズベキスタンに借りを返す」と宣言していたと言う。


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