上写真＝左足で相手G Kの股下を抜くシュートを放ち、チームの5点目を記録した福田師王（写真◎Getty Images）
■2023年11月18日 国際親善試合（@アイスタ）
U-22日本 5-2 U-22アルゼンチン
得点：（日）佐藤恵允、鈴木唯人2、松村優太、福田師王
（ア）パブロ・ソラリ、ティアゴ・アルマダ
パリ五輪代表に定着、そしてその先へ
福田は、U22代表でプレーする機会を待っていた。今年5月のU20ワールドカップは期待されながらも無得点に終わり、不完全燃焼。悔しさを抱いたその瞬間から、次こそは世界の舞台で活躍しようとリベンジを誓ってきた。その舞台はもちろん、パリ五輪。
今回、初めてパリ五輪出場を目指すU22日本代表に選ばれた。そして対戦するのは、U20W杯直前のテストマッチで敗れた相手、アルゼンチン。燃えないわけがない。福田は86分にピッチに入ると、４分後に自身の力を示した。
藤田穣瑠チマからのロングパスを呼び込むと、ボックス左から冷静に左足を振り、ネットを揺らした。
「前半を見ていて、センターバックの両方が広がっていて、間が空いているというのを見つけていました。そこに走り込んだら、みんな上手い選手なのでボールは出てくるだろうと信じて走って。あとはシュートに自信あったので、決めちゃいましたね」
まさに狙い通り。抜群のタイミングで抜け出して、角度のあまりない位置からゴールを決めた。
自身の特徴をピッチで発揮するために「人見知り」ながらも周囲の選手とコミュニケーションをしっかり取ったという。
「最初はコンビネーションとか全然合わなかったんですけど、みんな優しくて話しかけてきてくれるので、そういう時に『俺、背後に抜けるから出してくれよ』みたいなことを伝えて、ボールが来て、決められてよかったです」
試合前から準備し、試合中も相手のスキを見つけ、自身のやるべきことをやっていたからこそ、プレー時間が短い中で結果を残すことができたのだろう。
U18代表の監督時代に福田を指導したことがある大岩剛監督はゴールの瞬間、両手を大きく広げ、拍手を送って喜びを表現していた。そのことについて尋ねると「師王は『やってやりました』と言っていましたけど、『たまたまだろう』と（笑）。まだまだ彼は発展途上ですので、大きな期待と、しっかりと厳しい目で見続ける必要はあるんじゃないかなと。期待はしています」と、努めて冷静にその将来性を口にした。
中２日で臨むU22アルゼンチンとの再戦（非公開）では、さらに出場時間を延ばすことになるかもしれない。チームに新風を吹き込む存在として期待は高まるばかりだが「まだまだですね、僕は。これからだと思っているので頑張るっす」と本人はいたって謙虚。目指す選手像には、まだまだ程遠い場所にいると自覚するからだ。
最後に、福田と同じく動き出しに大きな特長を持ち、16日のミャンマー戦でハットトリックを達成した上田綺世についても聞いた。そのプレーに刺激を受けたのではないかと。
「なんかすげえなあって。体も強くて収まるし、背後にも抜けられて。二刀流って感じで尊敬してます」
A代表でのプレーも目指すところ。福田は目標に近づくべく、着実に歩を進めている。
取材◎佐藤景
