相馬勇紀が東京オリンピックの金メダルへ、三笘薫と強力タッグを組む。同じ左サイドを主戦場とするライバルではあるが、先に出たほうが相手を疲れさせて、代わって入ったほうが仕留める作戦だ。それこそがこのチームの団結力を示す。

上写真=ACL帰りの相馬勇紀だが、コンディションの良さをうかがわせてテストマッチで1アシスト(写真◎JMPA毛受亮介)

「律が自分を信じていいところに走ってきてくれた」

 チームの本当の雰囲気というものは外からはうかがい知れないものだが、選手たちの言葉を拾っていくととてもうまくいっていて、代表チームの短期決戦に不可欠な精神的な結びつきが高まっているようだ。例えば、相馬勇紀はこんなふうに感じている。

「僕の感覚からしたら、6月の代表の活動のときから、それこそ27人から18人が選ばれるときだったけど、本当に全員でやろうという雰囲気はそのときから感じていて」

 もちろん代表入りを争うライバルの集まりなのだが、それが足かせになるようなことはなかったという。だから、最終的に22人で臨むことになった現在も、一体感は日に日に高まっている。

「(吉田)麻也さんから試合前の言葉も飛んで、選ばれたここから代表として戦っていくんだということをみんなに投げかけていました。本当にいろいろな人の思いを背負わなきゃいけないなと感じました」

 それはさっそく、AFCチャンピオンズリーグから帰ってきてチームに合流してから、意識して行動してきた。7月12日のテストマッチ、U-24ホンジュラス戦でもそうだ。

「チームの輪というところの話をすれば、僕は昨日は特にサブだったので、盛り上げる声だったり、チームがどういう声がけをしたら試合に集中しながらもいいモチベーションで戦っていけるか、というところを考えていました」

 それは自らに向けた言葉でもあった。80分にピッチに入ると、自慢のスピードを生かして5分後に堂安律のゴールをアシストした。町田浩樹から縦パスを引き出してフリック、そのまま左前に走る間に前田大然が落とし、受けた遠藤航がその走るコースに浮き球のパスを送ってきた。しっかり胸で前に運び、堂安が突っ込んでくるポイントにグラウンダーで流し込んだ。

「まず一つよかったところは、僕は町田からのパスが入ってきたときに大然が入ってきているところも見えていたので、しっかりヒールを使ってパスができたところです。自分がゴール方向に向かってボールを受けにきたときにワンタッチではがすと、相手が食いついてスペースが生まれると思うので、そこからランニングして、動きながら胸でコントロールして、律がその自分を信じていいところに走ってきてくれたので、僕はスペースにボールを入れるという感じでした」

 信じて走るのも、団結力の一つの発露だ。

 ライバル関係といえば、三笘薫との左サイドハーフ争いが見る者を熱くさせてきた。そしてどちらもメンバーに選ばれた。

「同じポジションの選手で、例えば僕と薫のことで前からいろいろと書かれているのは知っていたんですけど、僕と薫がいまどういう話をしているかと言ったら、お互いにどっちが出ててもタッグでやろうというか、僕が最初に出ることになったら相手の選手が本当に疲れ切るまでプレッシャーにいくし、仕掛け続けるし、それでヘロヘロになったときに代わろうとか、逆も同じだし、そういった話を日頃からけっこうできているところがあります。そういった個々の部分とチーム全体の雰囲気というところを、両方作っていけたらいいなと思っています」

 U-24ホンジュラス戦では左で崩して右で決める2ゴールが生まれた。今度は「左で崩しで左で刺す」というスペシャルな攻撃を、相馬と三笘のユニットが作り出していく。


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