上写真=トレーニング中、ボールを要求する林大地(写真◎山口高明)
勝負強さで生き残ってきた
上田綺世が負傷により別メニュー調整中で、前田大然も先日のJリーグの試合で頭を打ったため、大事を取って脳震盪の復帰プログラム中。5日に始まった合宿で、FWとしてメンバー入りしている3人のうち林大地だけが全力でプレーできる状況にある。
12日のU-24ホンジュラス戦に上田や前田が万全の状態に臨めるかどうかは微妙で、林が先発する可能性は高そうだ。ここまでの練習では相手を背負うプレーやいなすプレーで、しっかり存在感を示している。重心は低くく、しかし懐は深くといった感じでボールを収めては味方につなぐ。そうかと思えば、裏に飛び出してフィニッシュに至る。守備に切り替わった瞬間には素早い寄せで第1ディフェンダーとなるなど、その持ち味を随所で発揮している印象だ。
最初のメンバー発表時、林はバックアップメンバーの一人であり、登録の18人に不測の事態が起きない限りは本大会に出場できない立場だった。しかし、レギュレーション変更で試合のたびに22人の中から18人の出場メンバーを決められることになり、試合出場の可能性が広がった。
ただし、林は努めて冷静だった。「ギリギリのところまでチャンスが来たという印象です。今回22人になったことで、よりチャンスが広がりました。でもベンチに入れるのは18人で、試合に出られるのは11人。自分の立ち位置を短い期間にグッと上げていかないといけない」と話す。
「昔からうまい選手ではなかったので、負けん気の強さだったり、1対1の勝負強さとかで生き残ってきたと思っています」
林は自分を過信しない。足元をしっかり見つめ、どん欲に成長を求めてきたから今があるのだろう。その姿勢はメンバー入りした今も何ら変わっていない。
「元々バックアップという立場で、そこから試合に出られる可能性は増えましたが、東京五輪のメンバーに入っても、このまま何もなかったら1試合も出られないこともあり得る。短い期間で自分の立ち位置を少しでも上げて、試合に絡めるようにアピールして、結果も残していきたいと思います」
今年3月に初招集され、U-24アルゼンチン代表との試合でゴールを決めて道をひらいた。林にとってのサクセスストーリーの次なる展開は、本大会でプレーし、ゴールを決めて勝利に貢献することだろう。東京五輪のピッチを踏めるかどうか。舞い込んだチャンスをつかみ、生かすように林は今、開幕を見据えてトレーニングに打ち込んでいる。