U-24日本代表にオーバーエイジ(OA)として加わった吉田麻也が、キャプテンマークを巻き、同チーム合流後初となる実戦に臨んだ。結果はU-24ガーナ代表に6-0。後方から仲間を鼓舞し続け、チームを引き締めたキャプテンの存在があればこその大勝だった。

上写真=キャプテンマークを巻き、U-24日本代表として初めてプレーした吉田麻也(写真◎JMPA増田泰久)

■2021年6月5日 国際親善試合(@ベスト電器スタジアム/リモートマッチ)
U-24日本代表 6-0 U-24ガーナ代表
得点者:(日)堂安律、久保建英、オウンゴール、相馬勇紀、上田綺世、三笘薫

プレッシャーはいつも以上だった

「プレッシャーはいつも以上にありました。完璧じゃないといけないというプレッシャーは、A代表でももちろんありますけれど、見られ方として非常にプレッシャーを感じる立場であることは間違いないです。ただ、繰り返しになりますけれど、いくらキャリアがあるとか経験があっても、実際に選手が見て、感じてもらわないと、認めてもらえないと思う。名札でプレーするじゃなくて、自分のパフォーマンスで評価されたいと思っているので、この合宿でそこのところの違いを出さなければいけないなというプレッシャーはあります」

 百戦錬磨の吉田にしても、いや吉田だからこそプレッシャーを感じていた。今回のU-24代表のOAとして迎えた初の実戦を終えて、キャプテンは率直な思いを口にした。五輪世代の選手の枠を一人分削って加わるのがOAだ。期待されたものを発揮できなければ、チームにとっては逆効果にもなる。だからこそ、周囲が納得するパフォーマンスを発揮しなくてはならない。国を背負って戦うのとはまた別の重圧がのしかかっていた。

 果たして、この日のガーナ戦で吉田は素晴らしいパフォーマンスを披露した。周囲を鼓舞しながら、チームを回していく。上田綺世にFWとして後ろの選手が望むプレーを説明し、最終ラインからボールをピックするボランチの田中碧とは、距離感とプレー選択に関して、パス交換しながら『会話』していた。

 印象的だったのは、その田中が相手に削られ、吉田が猛然と抗議した場面だ。

「点差が開いて、相手にラフなプレーがでてきて、審判も日本人の方だったので、たぶん非常にやりづらかったと思う。日本寄りにもできないし、選手にケガをもちろんさせられないし。なのでジャッジングは難しかったと思うんですけれど、僕はやっぱりそんなに長谷部(誠)さんみたいに優等生ではないので、かわいい選手たちが削られたらやっぱりそこは行かなくてはいけないし。テレビで見ている人なんかは『吉田、オーバーエイジなのに大人げないな』と思うかもしれないですけど、それもゲームマネージメントの一つなので、特に練習試合でこういうときは、やっぱり、もう次やったら許さないぞという意思表示を出さなければいけない。実際に、その後はほとんどラフプレーがなくなったと思うので、そういうところはみんなに見て感じてほしいと思います。ジャッジングだったり、今回はスタジアムの雰囲気はないですけれど、そういうものを味方にするというのも、試合をマネージする一つの術なので」

 3日に札幌で行なわれたA代表との試合でも、味方が削られたり、微妙な判定があるたびに、吉田はベンチ前に飛び出して抗議の意思を表し、戦う姿勢を見せていた。その姿は周囲の選手に国を背負って戦う覚悟と勝利への執着を感じさせ、試合のマネジメントの方法を示してもいた。

 プレー面でも吉田効果は表れていた。この日目立ったのは縦パスだ。チームの4点目となる相馬勇紀のゴールは、堂安律に通した吉田の鋭い縦パスが起点になった。

「縦パスを入れることができていたんですけれど、そのぶん相手の食いつきが激しくて、先に動くシーンが多かった。この間のミャンマー戦もそうですけれど、律とかタケ(久保建英)もそうですし、鎌田大地もそうですけれど、逆の動きでいいところにボールを要求してくれるので、自分の良さを出せると思っています。律とは長くやっているので、ある程度そこに動いてくれるんじゃないかなという予測を持ってボールを運ぶことを意識していました。ああいうのが入ればビッグチャンスになるし、逆にああいうのが引っかかるとカウンターを食らう。なのでディフェンスとしては確実に通さなくてはいけない。どこでチャレンジするかどうかのせめぎ合いは非常に難しいですけど、後半はそれがうまくできたなと。もちろん点差が開いていたというのもあると思いますが」

 通れば、局面を一気に優位にする吉田からの縦パスがズバリと決まって、ボールを引き取った堂安が即座に相馬につなげてゴールが生まれた。サイドからバイタルエリアに入ってくる堂安の動きを見逃さずに吉田はパスを通したが、長くA代表でプレーしてきたことが生きたシーン。1チーム2カテゴリーでチーム作りを進めてきた効果を感じさせるプレーでもあった。

 プレー面と精神面、つまりはピッチ内外で吉田がチームに加わった効果がすでに表れている。合流後初の実戦ながら、ガーナ戦はOA吉田の覚悟が十二分に示された試合になった。


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