U-24日本代表は29日、U-24アルゼンチン代表との第2戦に3-0で完勝した。CBとして先発した瀬古歩夢は力強い守備で無失点に貢献。攻撃でも糸を引くようなロングパスで林大地の先制点を演出し、攻守両面で勝利に大きく貢献した。

上写真=29日のU-24アルゼンチン戦にCBとして先発し、守備だけではなく攻撃でも貢献した瀬古歩夢(写真◎Getty Images)

ゴールを導いたロングパスは「常に狙っていた」

 球際の勝負に勝つーー。それが第1戦の内容を踏まえ、第2戦を前にチームで共有した勝利へのカギだった。CBとして先発し、アルゼンチンのアタッカーと丁々発止のバトルを繰り広げた瀬古が試合後に明かした。

「球際のバトルになるというのは試合前から想像していました。監督からも絶対に負けるなというのは言われていた。その中で今日は全員が非常に戦って、勝っている部分が多かった。それが今日の勝因つながったと思っています」

 結果は3-0。第1戦では0-1で敗れ、内容もあらゆる面で相手に上回られた。だがこの日はベースとなるボールの争奪戦で南米予選1位の強豪を凌駕し、ゲームもコントロール。前半は相手にシュートを許さなかった。

「第1戦で出られてなくて、負けた中で第2戦は非常にチームとしても大事な試合だった。自分が出たら、絶対勝利しようという気持ちがありましたし、もっともっとアピールしないといけないという気持ちで試合に臨みました」

 第1戦に先発したCBは渡辺剛と板倉滉。瀬古には出番が訪れなかった。チームとして勝利を目指すのと同時に、アピール機会を逃すまいとの思いが、瀬古の気持ちを高ぶらせていた。

 守備で相手を封じ込め、ペースをつかんだ瀬古は◎分に攻撃面で大仕事をやってのける。得意のプレーで日本の先制点を演出したのだ。

 まるでレーザービームのようなパスを最終ラインから1トップの林大地へ通した。右足アウトサイドにかけたボールは、ラインの裏へ走り出した林の右足にピタリ。待望の得点を生み出した。

「試合前から大地と話していたので、あそこは常に(狙っていた)。自分の特長でもありますし、狙っていこうと思っていました。その中でコースが見えたので、通ってよかったです」

 日本がペースを握った前半終了間際。そのまま後半に折り返すのと1-0で残り45分を迎えるのでは大きく違う。チームに活力と勇気を与え、勝利を手繰り寄せるビッグプレーだった。「相手のDFの映像は試合前から自分自身も確認していて、背後の対応がちょっと雑なところが何シーンかあった。それを試合前に頭に入れながら狙って行けた。それが実際につながってアシストになったので、よかったと思います」。一か八かのプレーではない。相手のウイークポイントを把握し、そして林の強みを考慮した上でのプレーだった。

 今回の活動には海外組も加わり、チームがより引き締まったと瀬古は感じたという。それと同時にオリンピックが迫っていることも実感していた。だから「自分たちは結果にこだわらないといけない」と考え、強い気持ちでアルゼンチンとの再戦に臨んでいた。

 もちろん、これで何かが得られたわけではない。瀬古のメンバー入りが約束されたわけでもない。しかし、ポジティブな印象を残したのは間違いない。コーチ陣にも、そして自分自身の中にも。

「オリンピックに対しての思いは、チーム全体で、より強くなったと思う。日本で開催するからにはやっぱり金メダルを全員が目標にしている。個人のレベルアップをこれからしていかないといけないという思いも、今日の試合で感じさせられた」

 今日からはセレッソ大阪に戻り、瀬古はレベルアップに努める。4カ月後の東京五輪で世界の強豪を破り、輝くメダルを手にするために。


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