中山雄太キャプテンがU-24日本代表が結果を出すために重要だと語るのがコミュニケーションを取ることだ。A代表での活動を経て、これまで以上に共通意識を持つことが重要だと意識するようになった。今回の合宿でも日々、その考えのもとで行動している。

上写真=トレーニング中は積極的にコミュニケーションを取ることを心掛けているという中山雄太(写真◎サッカーマガジン)

A代表経験者が還元しようとしている

 メンバー入りをかけたサバイバルとチームとして向上。その両方をうまくハンドリングしながら進めることが、キャプテンを務める中山雄太の大きな仕事だ。

「チーム競技である中に、メンバーに食い込まないといけないという個人の野心だったりはすごく感じる。それは僕自身も持っている部分ではあるので。ただ、そこが大きくなりすぎると、一人でプレーしているような感覚になってしまう。うまくその野心を同じベクトルに合わせられるような、そんな作業というのは、僕自身キャプテンに就任させていただいたので、うまく合わせていければと思っています。しっかりと同じベクトルに向けば、組織力としてもよりよく、力強いものになっていく。そういう働きかけはしっかりと、僕だけじゃないけど、まずは僕が発信して、まだ時間もあるので、この期間の中でも、それを向上させていければ」

 昨年秋にA代表に招集され、選手たちの高い意識と国を背負う覚悟に大いに刺激された。ロンドン五輪でキャプテンを務めた吉田麻也、リオ五倫のキャプテン・遠藤航らの振る舞いも参考となったことだろう。

「僕が今までの活動の中で、コミュニケーションの部分についてA代表との違いを挙げさせてもらいましたが、そこは一つ変わってきた部分だと思う。もちろん、A代表で活動してきた選手が多くをこのチームに還元しようとしているのはすごく感じるし、(僕自身も)そういった面で周りに影響を与えられればという思いで今はやっています」

「チームにどう働きかけられるかも、僕として意識してきている部分。こういう状況でチーム力を築き上げにくい状況ではありますが、それは言い訳にしかならない。本当に今できることを、しっかりやっていこうという意識で日々過ごしています」

 A代表を経験し、オランダリーグでもまれた中山は、チームにとって何が重要かを考えて行動している。コロナ禍でさまざまな制限がある中、練習では寸暇を惜しんで『チームになる』ために心を砕く。本大会は4カ月後に迫り、トレーニング機会も実戦機会もそれほど多くない。1回1回の練習が貴重であり、今回のU-24アルゼンチンとの2試合も本番を想定した強化試合として極めて重要だ。その思いが、中山の言動には表れている。

 アルゼンチン戦のポイントを聞かれ、こう答えた。

「相手のプレッシャーを上回っていくポジショニングであったり、一人ひとりの準備、全体の共通意識が大事だと思う。難しい状況が続くなら長いボールも有効活用していくことも大切。全体の共通意識として、どこでハメていくのか、あるいはハマらない時間に、どういったコンセプトでやっていくか。守備では特に共通意識が大事になる」

 優勝候補にも挙げられる強豪国との2連戦をいかに戦い、日本の成長につなげていくかについても頭の中で整理済みだった。そのうえで、発信したい思いについても触れた。

「こういった状況の中で活動させていただけるのはすごく光栄だし、感謝の気持ちが強まる一方で、僕らに何ができるかというと、こういう状況をつくって下さった皆さんに、何かを感じてもらえるようなプレーを見せことが一番だと思っています。そこが前提にありつつ、苦しい状況にある中で皆さんに、少しでも勇気や感動を届けられれば、僕らにとってはすごくうれしいこと。全力でプレーするだけだと思っています」

 環境を言い訳にはしない。チームの成長のため、そしてコロナ禍で戦うすべての人たちに少しでも何かを感じてもらえるように、今日、アルゼンチン戦のピッチに立つ。


This article is a sponsored article by
''.