U-24日本代表の合宿3日目には海外組が本格合流を果たした。国内組の年長者である渡辺剛は制限がある中でも積極的にコミュニケーションを取り、チーム力の向上と自身のパフォーマンスを最大限発揮できるように努めている。

上写真=ディフェンスリーダーの自覚を持ちチームを引っ張りたいと話す渡辺剛(写真◎サッカーマガジン)

金メダルを取るために強豪を倒さないと

 海外組が合流した合宿2日目。練習開始時に、海外組と積極的に話す渡辺の姿が目に付いた。今回は新型コロナウイルスの感染予防のため、行動が制限されており、宿舎の食事会場やミーティングルームで話すことができない。コミュニケーションを取るのは、主に練習中のピッチの上になる。

「コミュニケーションがすぐに取れる状況じゃないのは仕方ないこと。個人的に海外選手とコミュニケーションを取りたいと思ってここにきていたので、取りづらいところはあるけど、練習中に会話したり、練習後のトレーニングを一緒にやってコミュニケーションを取るという意味では、食事会場やホテルでコミュニケーション取れずとも、ピッチの中で取れているのでストレスは感じていません」

 97年の早生まれで、この代表では年長者に当たる渡辺剛は今回の合宿への招集が決まった際にも「年長者として引っ張っていくつもりで臨みたい」と話していた。

「(板倉)滉も(中山)雄太も海外でやっている選手なので、相手がアルゼンチンという強豪で、どうやって対応すればいいかを知っていると思う。試合の話はしていないけど、練習中に『こうして行こう』という話はできています。現状、コミュニケーションは取れていますね」

 限られた時間をより濃密なものにすべく、寸暇を惜しんで行動している。

「今回のアルゼンチンにはデカイFWがいて、強くて速い選手がいると聞いている。そういう選手を抑えられるかがオリンピックに向けて大事なことだと思う。まず、世界で活躍している選手を自分たちCBが止めて、自分たちの流れをつくるのが大事になる」

 アルゼンチン戦は、しっかり本番を想定してプレーするつもりだ。

「うまくて強いのは分かっている。そこでしっかり我慢して失点せず、相手の嫌なことをやり続けることで、ブラジル戦もそうだったけど、焦れて相手がプレーできなくなる時間帯があると思う。まずはしっかり我慢して失点抑えたり、嫌なことをやり続けることで自分たちの時間がくる。常に相手の嫌なことをやり続けることが大事」

 2019年10月に敵地でU-22ブラジル(当時)を破った。先行されながらも我慢して戦い、田中碧の2ゴールや中山雄太のミドルシュートで逆転に成功。その経験を踏まえつつ、渡辺は今回の試合のポイントを整理している。

「オリンピックで金メダルを取るためにはアルゼンチンのような強豪をどんどん倒していかないといけない。アルゼンチンも金メダルを取る力のあるチーム。ここに勝つことがすごく大事だと思います。自分たちはチーム力で戦っていくと思いますが、組織としての意識を共有できるようにしたい」

 チームとしてはもちろん、個人としてのアピールも今合宿では必要だ。その点も渡辺は心得ていた。

「(本大会まで)活動も数回しかなくて試合もそんなに多くない。どうやって自分をアピールをするか、大事な試合になる。自分は海外の相手とはJリーグでもやっているし、いろいろ経験して負けない力をつけてきたつもり。そういう相手をゼロで抑えることが大事だし、そういうチームを完封するのが自分の課題。まずは全体的な守備力を見せていきたい」

 本大会に臨めるのは18人。オーバーエイジを採用するなら、メンバー入りはさらに狭き門となる。競争は激しい。中山とはこんな会話をしたと明かした。

「ここにきている選手だけでなく、オリンピック(のメンバーに)に入りたいと思っている選手がたくさんいて、そういう選手の自分たちに対する気持ちというのは、Jリーグでやっていても感じている。そういう選手がJでも海外でもウズウズしているという話をしました。そういう気持ちをすごく感じるよねと。俺らは意識されているというか、雄太や俺を蹴落として入りたいと思っている選手がJリーグにもいるので」

 サバイバルに勝っていくという意味でもアルゼンチン戦のパフォーマンスは重要だ。26日には東京で、29日には北九州で、U-24日本代表は大会の優勝候補と激突する。


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