上写真=合宿2日目を迎え、海外組も合流。三笘薫と久保建英が笑顔でストレッチをこなす(写真◎サッカーマガジン)
フロンターレで出せている部分を出せれば、力になれる
三笘薫にとっては、およそ1年3カ月ぶりのこの世代での代表活動になる。前回は2019年の年末に長崎で開催されたジャマイカ戦(U-22/9ー0)に招集され、1ゴールを記録した。だが、まだ大学生だった当時と現在では、三笘の立場は大きく違う。2020年はプロとして1シーズンを戦い、Jリーグベスト11に選出されるなど、大きな飛躍を遂げた。所属する川崎フロンターレの優勝(J1と天皇杯の二冠)の立役者の一人となった。
「その当時はプレースタイル的にもシャドーでうまく間で受けて、周りの選手を使いながらでしたけど、Jリーグに入ってウイングのポジションをやって、ドリブルだったり、スルーパスでペナルティーエリアに入っていく仕事でした。もちろん代表での仕事とは少し変わってきますけど、フロンターレで出せている部分を出していければ、力になれると思いますし、そういったところを評価されていると思うので、そういうプレーを出して貢献していきたいと思います」
三笘に向けられる周囲の期待も、当時とは大きく変わり、世代を代表する選手の一人として扱われることも増えた。ただ本人が肩肘張ることはない。これまでと変わらず、積み重ねてきたプレーを出すだけだ。
「まだまだオリンピック代表の中では下だと思っています。フロンターレが優勝して評価されたと思っていますし、そこには素晴らしいチームメイトがいてのこと。個人としてどれだけのスキルを持っていて、どれだけの力を還元できるのかということでは、自分自身まだ分からないところがあります。それを示す場でもあると思うので、スタートというか、今回の招集でどれだけできるかが今後につながる。いろんな人からの目も変えていくチャンスだと思うので、そういう機会にしたいと思います」
思えば、昨年も自身の立ち位置を理解してJ1に臨み、一つ一つ階段をのぼっていった。五輪代表でも同様の姿勢で進むのだろう。アルゼンチン戦についても勝つことを前提にしながら「南米1位で進出してきた相手で、アルゼンチンの同世代の選手がどれくらいのスピードだったり、テクニックなのかはすごく気になりますし、それを肌で感じられるのは素晴らしい機会。うまく吸収したいという気持ちですし、もちろん勝負事なので勝利に貢献できるプレーをしつつ、自分の次のステップの機会にできたらと思っています」と成長につながる一戦にしたいと語った。その先に待つものも、これまでの歩みと同じように大きな成果なのかもしれない。
オリンピックの開幕は、4カ月後に迫る。今回は海外組を加えたチーム編成で、本大会でオーバーエイジ枠を使うことになると、ただでさえ本大会の登録メンバー18人という狭き門は、さらに狭くなっていく。三笘が言う通りに現在の立ち位置が「オリンピック代表の中では下」だとすれば、生き残るために今合宿でアピールすることはマストと言えるだろう。
「多くのポジションを高いレベルでできることは必要ですし、中2日で6試合なので、タフに高い強度でプレーすることが必要。そういったところは自分自身まだ足りないですし、そこはオリンピックに向けても、今もそうですけど、徐々に上げていく必要があるかなと思っています」
「6試合」とはすなわち、本番で決勝、あるいは3位決定戦までを想定した数字になる。メダル獲得を見据えているということだ。むろん、狙うは輝く金メダル。三笘にとって、メダルを争う舞台に立つために、今回の合宿とアルゼンチンとの2試合は極めて重要な機会となる。