東京五輪世代の国内組による『U-23日本代表候補トレーニングキャンプ』の4日目、GKの沖悠哉がオンラインでの取材に応じた。前日24日には、所属する鹿島アントラーズの先輩・曽ヶ端準が引退を表明。思いと決意を語った。

上写真=初招集も「自分の特長を出していく」と意欲を示した沖悠哉(写真◎サッカーマガジン)

ソガさんもスンテさんも一切手を抜かない

 何度も「鹿島」という言葉が口をついた。それは沖が偉大なる先輩GK曽ヶ端準、クォン・スンテを控えに回して所属チームでゴールマウスに立ってきたからだ。

 今回、五輪代表候補合宿に初めて招集されたことついて、聞かれて。

「今年、鹿島で出てこその代表招集だと思っています。代表チームの中でも競争があるので、自分のことをしっかりアピールして生き残っていければと思っています」

 所属チームで出番を得た2020年シーズンについて聞かれたときは、こう答えた。

「偉大な先輩が2人いるなかで、試合に出る責任があるし、プレッシャーもありますけど、プレッシャーから逃げていたら鹿島で試合に出られない。鹿島はキーパーがしっかりしているからこそ強いチームとして成り立っていると思うので、その役割や強いインパクトをもっともっと出していきたい」

 そして代表チームまでの距離を問われて、こう語っている。

「鹿島でスタメンになれば、代表が見えてくると、ずっと思っていた。鹿島で出続けることに意味があるし、これからももっともっと強い気持ちを持って、練習から取り組んでいけたらと思います」

 沖の中では、鹿島で戦う日常と代表がしっかりとつながっている。その言葉がいっそう熱を帯びたのは、昨日、引退を発表した曽ヶ端について質問されたときだった。

「小さい頃からカシマスタジアムで試合を見てきて、偉大な選手なのは間違いないですし、鹿島のクラブハウスはトップチームと育成の練習場が隣なので、そこでも小さい頃からずっと見る機会がありました。憧れていた選手と3年間、同じグラウンドで一緒に練習して、技術面でもメンタル面でも学ぶことが本当に多くて、この3年間は絶対に無駄にならないし、自分にとっては一生忘れることのない掛け替えのない時間になったと思う。この3年間を無駄にせず、そこから上積みをもっとしていきたい。
 自分はソガさんにはなれないので、ソガさんの経験だったりにプラス、自分のプレー像を作り上げていきたいと思います」

 同世代のライバルは多い。東京五輪世代の代表ではチームの立ち上げから長らく大迫敬介がリードしてきた。しかし、2020年シーズンはJリーグで多くのGKが台頭。沖自身も、今回合宿に参加した波多野豪も今季、飛躍を遂げた選手だろう。だが、沖には焦りや危機感はない。同世代のGKと直接、切磋琢磨するのは初めてでも、先輩と競い合う充実の日々を積み重ねてきた自負がある。

「ピッチ内では技術面はもちろん、メンタル面でも学ぶことが多かった。特に今年は過密日程でほぼ全員にチャンスがあったなかでも、GKは代えにくいポジション。ソガさんも、スンテさんもそうですけど、その中でも日常の練習で一切手を抜かなかったし、どんなに暑くても、どんなにきつくても、練習を休むことは絶対になかった。それは試合に出ていても、辛い立場のときも、練習を必死にやっていた。そういう姿を見ると、自分はもっとやらないといけないと思いました。今年、曽ヶ端選手が引退しましたけど、自分が試合に出ていなくても最大限をやり続けるメンタリティーというか、誰が試合に出てもサポートして、なおかつ自分が試合に出たら最大の結果を残せるように最善の準備をするという心意気を学んだ。来年から自分が率先してやっていきたいと思います」

 明日26日は練習試合が組まれている。沖は、何を見せたいと考えているのか。

「ビルドアップのところ、キックは(大迫、波多野に)負けていないと思いますが、GKの本質であるゴールを守る部分は、(自分は)まだまだ甘いと思う。それは自チームでも分かっていることなので、自分のなかの課題を意識しつつ、明日の試合で結果を出して、来シーズンにつなげていきたいと思います」

 鹿島で定位置をつかんだ先に候補合宿があった。今回の合宿を経て鹿島に戻った先にあるのは何か。たゆまぬ努力だけが、未来を切りひらくことを沖は知っている。


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