上写真=1月のタイ遠征以来、強い思いで2020年シーズンを過ごしてきたという古賀太陽(写真◎サッカーマガジン)
今季の柏の守備を支えた
「ほぼ1年前になりますけど、U-23のタイの遠征のときに僕自身、挫折というか、実際にチームの結果に対して全然貢献できなかった部分があったし、僕のミスでチームを厳しい状況にしてしまった。そこから何とか、あのミスがあったから成長できたと思えるようにと思いながら、今年1年取り組んできた。五輪に向けてもそうだけど、僕自身成長するために、あのミス、あの経験を糧にもう一回成長しないといけないという思いでやってきました。そういう気持ちの部分が大きかったと思う」
2020年を振り返り、まず古賀が口にしたのは今年1月にタイで行なわれたU-23アジア選手権だった。初戦のサウジアラビア戦で、1-1の同点で迎えた終盤に、古賀はバックパスをしたが、岡崎慎と呼吸が合わず、相手にボールを奪われて決勝点を献上することになった。結局、1-2で敗れた日本はその後も勢いに乗れず、1分2敗のグループ最下位に沈み、大会を去ることになった。あの経験は今でも古賀の胸に刻まれている。
「あのときのように少しミスを恐れたようなプレーよりも、自分の特長を出せるように意識してこれたと思います。実際に気持ちの変化が今シーズンのプレーに出ていたかもしれないし、去年よりもより自分の特長を出せる試合は増えたと思う」
2020年シーズン、所属する柏はDFにケガ人が相次いだが、その中で古賀は本職の左サイドバック以外にもCBを務め、チームを支えた。チームの中では最も多く試合に出場した(33試合、2,969分)。
「本当にあのミスから始まって見返してやろうという気持ちを強く持った1年だったし、そういう気持ちをシーズン通してプレーで出せたと思う。ここに呼ばれたからには1年前の自分と比べて、これだけ成長したんだという姿を見せないといけないし、強みであるプレーをドンドン出していかないといけないと思います。ここに呼ばれたから安心というのはまったくない。よりもっと上の選手に食らいついていかないといけないので、もう一回自分のプレーを見つめ直しながら特長を出していければと思う」
プレーの幅を広げ、精神的にもたくましくなった。複数ポジションできることは五輪本大会のメンバー入りへアドバンテージになるだろう。
「初招集の選手も多い合宿だと思うので、とにかくサバイバルというか、個人がどれだけアピールできるかという合宿だと思っています。練習試合に向けてチームとしてどうやっていくかもすごく大事だと思いますけど、とにかく個人個人がどこまでやれるか、力を見せられるかが一番大事。僕自身も特長をうまく出していけたらと思う」
あの悔しさを糧として、古賀は着実に成長を遂げた。4バックの左サイドバックとして、3バックなら左右のCBとして、身に付けたものすべてを出し切る覚悟でいる。