日本代表は北中米ワールドカップ後の最初の活動として、9月から10月にかけて4試合を戦った。ウルグアイ、ベネズエラ、エクアドルという南米の難敵と、ニュージーランドとの対戦は負けなし。ただ、新戦力のアピールという点では物足りなさも残る。そのなかで注目は鈴木唯人、そして同い年の久保建英である。

上写真=日本の4連戦はキリンカップ優勝で幕を閉じた。新戦力のさらなる台頭をもっと見たかった(写真◎高野 徹)

ウルグアイ戦の久保のチャンスが象徴的

 2027年アジアカップ優勝を目指して、森保一監督が留任した日本代表。9月下旬から10月にかけて4試合を戦って、新たなスタートを切った。

 キリンチャレンジカップでは、ウルグアイに3-1で勝ち、ベネズエラに2-1で逆転勝利。続けてキリンカップに入って、エクアドルには90分では0-0で引き分けたが、PK戦を5-4でものにして、決勝に進出。ここでニュージーランドを2-1で下し、優勝を飾った。4試合で3勝1分け=PK勝ち、4連勝と言っていいだろう。

 2度のワールドカップでの経験を踏まえながら、タイトなスケジュールを強いられるアジアカップという最後の大一番に挑む森保監督にとっては、そのチーム作りにおける今回の結果はまずまず。だが、大きな狙いであった新戦力の積み上げに関しては、満足とまでは言い難いだろう。

 というのも、新たに選抜された選手、これまで出場機会の少なかった選手たちにチャンスを与えたものの、合格点を与えられる選手、少なくとも既存のメンバーを押しのけるほどのプレーを見せることができた選手は少なかったと感じるからだ。

「試合開始からのインテンシティの高い状況でのプレーを見たかった」と、特に最初の2試合では先発で多くの選手をテストしている。だが、いずれも後半からワールドカップに出場した選手たちが登場すると、明らかにチームとしてのプレーの質が変わった。「やはりこのメンバーなら強い」という思いを抱いた人が多かっただろう。

 新たに加わった選手の中では、松木玖生がウルグアイ戦で先発し、開始11分にいきなり先制ゴールをたたき出してインパクトを残したが、それ以降は後半途中までのプレーで、攻守にまずまず。中野就斗はベネズエラ戦で右ウイングバック、ニュージーランド戦では右サイドバックでスタメンに選ばれ、ニュージーランド戦ではそのクロスから上田綺世のゴールを導くなど好プレーも見せたが、失点につながるミスも犯すなど安定はしなかった。

 そんな中で印象に残ったのが、鈴木唯人だ。北中米ワールドカップにも出場しているから「新人」ではないが、ワールドカップ前の負傷の影響もあり本番では1試合に交代出場したのみ。それだけに、今回のシリーズで新しい戦力アップをもたらす存在として期待が集まっていた。

 鈴木唯はまずウルグアイ戦でスタメン出場して77分までプレー、ベネズエラ戦では出番がなかったが、エクアドル戦で再びスタートからピッチに立ち、67分までプレーした。2試合ともこのチームのベースとなっている3-4-2-1システムの左シャドーでプレー、ゴールやアシストという「数字」は残せなかったが、随所に持ち味を発揮して攻撃のリズムを作り、チャンスに絡んだ。

 このポジションは南野拓実と三笘薫の負傷で北中米ワールドカップでは本来のポジションではない前田大然や鎌田大地が務めたが、持ち味を十分に発揮するには至らず、攻撃の変化やバリエーション、決定力を欠く要因ともなった。南野や三笘の復活にも期待したいが、現時点で鈴木唯がこのポジションに最も相応しい人材に思える。

 とりわけ、右のシャドーに入る久保建英との相性が良いように映った。これまでもサイドでは右の久保と堂安律のコンビや左の三笘と南野、あるいは三笘と中村敬斗で良いコンビネーションプレーを見せてきたが、中央でも鈴木唯と久保が絡めば、アイデアのあるプレーで攻撃のバリエーションが広がる。

 象徴的なシーンがある。

 ウルグアイ戦で久保が63分に登場して10分後に、鎌田からの縦パスを久保がフリックして鈴木唯へ、リターンパスをもらった久保が抜け出してシュートしたシーンは、DFにブロックされたものの、見事だった。

 2人が先発出場したエクアドル戦では、後半開始直後に左サイドで縦パスを受けた久保がすかさず左のスペースへ走り込んだ鈴木唯へダイアゴナルのパスを通したシーンも目を引いた。鈴木唯がトラップをミスして得点には結びつかなかったが、2人のビジョンとアイデアがシンクロした見事なチャンスクリエイトだった。

 左利きの久保は細かいテクニックで狭い局面でも打開でき、右利きの鈴木唯はよりダイナミックにボールを動かせる。久保がシャープな振りで一瞬のチャンスをゴールに結びつけ、鈴木唯はゴール前のポジショニングに優れてさまざまなパターンで得点できる。ともに「やりやすい。イメージが合う」と口にするだけに、25歳の2人が同時にプレーする時間を増やしていけば日本の強みになり得る。

 ボランチでは佐野海舟がボール奪取からのつなぎにすごみを増し、鎌田の冷静な配球は際立っている。所属クラブでも好調な田中碧、佐野航大ですらもなかなか出番が回ってこないほど充実しているし、1トップの上田綺世のスケールアップも光るだけに、シャドーがハイレベルな2人で固まればより強力なチームになる。

 そのためには、久保がレアル・ソシエダでポジションを取り戻してその地位を確固たるものにすること。鈴木唯がフライブルクでの好調ぶりを維持してさらに高めること。それぞれの成長が必要になる。ともにヨーロッパでもトップレベルの技術とアイデアを持つが、さらに突き抜けた存在になることが、アジアカップ制覇、そして次のワールドカップへつながる。

文◎国吉好弘


This article is a sponsored article by
''.