上写真=ダラス入りし、前日練習でランニングする日本代表の選手たち(写真◎JMPA毛受亮介)
相手の「持ちたい」心理を逆手にとる
フレンキー・デ・ヨングやライアン・フラーフェンベルフら、世界トップレベルのタレントを中盤の軸に据えるオランダ代表についてち、久保建英は「彼らはサッカー的にはボールを持ちたいというのがある。どこまでそれを持たせるか、そういう話になってくる」と決戦のポイントを指摘した。
相手にボールを握られる時間帯があることは織り込み済みで、重要なのは、持たれているのではなく「持たせる」という主体的な意識になる。久保は「自分たちがボールを持つ展開も当然来る」とも語り、専守防衛で戦うつもりはないとした。
とはいえ、冷静に戦力を考えれば、守備の時間が長くなることも予想される。耐える時間と、攻めに出る時間のバランスと見極めが、大会初戦の緊張感の中でどこまでできるのか。見誤れば、後手に回り、極めれば、日本はそれだけ勝ち点獲得に近づくことになる。
さらに大きなポイントとなりそうなのだが、オランダが抱える微かな「緩み」を突くことだ。取材に応じた吉田麻也は、「向こう(オランダ)もいくつか問題を抱えているような雰囲気がある」と鋭く指摘した。
「どっちが崩れずに、むしろどっちかが勝てば、その片方は大崩れする可能性がある」とも語ったのは、タレントぞろいのオランダも、直前の親善試合で不安定さを露呈しており、決して完璧な状態ではないと見るからだ。
日本が突くべきは、その大崩れの引き金となるトランジション(攻守の切り替え)の瞬間だろう。オランダの強力なサイドアタックに対して、日本の左センターバックを担う伊藤洋輝は「2対1を作りすぎてもどこかが空いてしまうので、状況に応じて対応する」と警戒を強めた。同じく左サイドでウイングバックを務める中村敬斗と共有済みだという「相手の強いプレス」を協力して剥がし、前がかりになった相手の背後を鋭く突いていきたいところだ。
今回のW杯は演出も含めて極めてエンターテインメント化されている。目の肥えたサッカーファンばかりではないアメリカ特有の雰囲気の中で、いかに冷静に戦えるかも重要なポイントになる。4年前は「少しのまれた」と話したのは久保だが、今回は「ニュートラルな観客を味方に付けられるようなサッカーができたら」と語り、前回大会のドイツ戦で遠藤が見せた激しいデュエルが会場を味方につけたことに言及。ある意味で、わかりやすく、泥臭く、かつ勇敢なプレーを見せることが、中立な観衆を日本のサポーターへと変貌させると指摘した。
今回が5度目のW杯という百戦錬磨の長友佑都も「言い訳はもうできない。ただただ泥臭く、日の丸を背負って戦う」と語り、勝利のために近道などないことを強調。相手のポゼッションをいなして焦りを誘い、生まれた亀裂を一撃で突く。森保一監督が信頼を寄せる「自立した選手たち」がピッチ内で連動し、狙いを遂行したとき、日本は大会を良い形でスタートできるはずだ。
取材◎佐藤景【現地】
