上写真=田中碧に先発出場の期待がかかる(写真◎サッカーマガジン)
「トランジションが増える」の予言
日本はワールドカップ出場を世界最速で決めて、サウジアラビアは3位からの浮上を目指す。そんな両チームが激突するゲームを前に、田中碧は腕をぶす。
「サウジアラビアはすごくいいチームだなと。前回のワールドカップもそうでしたし、今回の予選もアウェーで戦ったときは苦しんだ相手でもあります。相手はやっぱワールドカップがかかっているので、際の戦いの勢いに受けに回らずに、自分たちがまずはバトルの部分で上回るのが一番、明日のキーになると思っています」
守田英正がチームを離脱して、先発のチャンスが巡ってくる可能性が高いと目されている。大きなチャンスだ。
「僕だけに限らず、どの選手が出ても勝てるということが選手個人の一番のアピールだと思うんです。どの試合においても自分が出るときには必ず勝つという結果を残したい」
最終予選で先発したのは第4節・ホームのオーストラリア戦と第6節・アウェーの中国戦。第1節・ホームの中国戦と先日の第7節・ホームのバーレーン戦が途中出場で、ほかの3試合は出場の機会が巡ってこなかった。だから、サウジアラビア戦に先発することになれば、確実に勝利を収めることが自らの存在価値を高めることに直結する。
だから、繰り返しになるが「バトル」で勝つことを自らに求めるのだ。
「前回のサウジ戦もそうでしたけど、やっぱり球際だったりセカンドボールだったり、戦術や立ち位置うんぬんというよりは、どちらかというとそこの部分がゲームを優位に運べるかどうかの部分を占めると思います。まずはそこをこだわらなきゃいけない」
「どちらかがボールを握るというよりは、トランジションが増えるゲームになるんじゃないかと思う。そこは妥協していい部分ではない」
ワールドカップ予選を突破した直後だからこそ、今度は本大会を見据えた戦いに切り替える意識を持つべきだ。いわば、サウジアラビア戦は仮想ワールドカップ。
「ヨーロッパや南米のチームがより激しい戦いしている中で、彼らと戦うためには自分たちはより高い目標と高い基準を持ってやらなきゃいけない」
その意味では、バトルに勝って、その上で、田中の得意技とも言える立ち位置の細やかな変化で相手を困らせることができれば、鬼に金棒。
「チーム全体の流れを見て、個人的には立ち位置を変えることはすごく重要だと思っている」
バトルが増えれば行ったり来たりの展開になるかもしれない。そんなときに、的確なポジショニングを取り続け、相手の勢いを吸収してリズムを作り出すことが、田中の持ち味だ。そのことが、また一歩、自分を成長させることを知っている。
「自分がよりいい選手になれば出場の機会が増えるというのは、日本代表に限らず他の各国の代表を見ていてもそう思います。より日頃から自分が成長することが大事だと思っています」
サウジアラビアとのタフなゲームを、大きな成長の糧にしてみせる。