上写真=25日のサウジアラビア戦はケガのため欠場濃厚だが、最後まで帯同する(写真◎サッカーマガジン)
仲間に伝えたブラジルW杯の経験

23日、チームを激励するためにトレーニングに訪れた岡田武史JFA副会長(写真◎サッカーマガジン)
長友佑都は24日、サウジアラビア戦の前日練習には参加しなかった。代表合流前のJ1の試合(福岡戦)で右ふくらはぎを負傷。本人いわく「ひどい怪我ではないですけど、100%でないなら戦う資格はないと思う」ため、サウジアラビア戦もベンチ外となりそうだ。
しかし、チームに不可欠な存在であることは今さら言うまでもない。昨年のアジアカップ後に代表に復帰し、自らの出場機会がない中でも積極的な声がけと先頭に立ってトレーニングに取り組む姿勢でチームに一体感をもたらした。
そんな長友は全体練習終了後に取材に応じた。興味深かったのは前日にチームを激励に訪れたJFAの岡田武史副会長についての話だ。
「響きますね、岡田さんの言葉は。選手みんなも言っていましたが、何か引き込まれる。岡田さんがいろんな修羅場をくぐっていろんなことを経験して、出てくる言葉は年齢関係なくズドンと響いていた。僕自身もそうですし、あらためて岡田さんすごいなと思いました」
長友は2010年のワールドカップを岡田監督のもとで戦った。大会前の成績が振るわず、大きな批判を浴びる中で下馬評を覆し、自国の大会以外で初めてラウンド16に進出。パラグアイにPK戦の末に敗れたが、ベスト8にあと一歩まで迫った。
「最後は戦術だけではない、そこばかりに目を向けているとダメだと。戦う気持ちだったり、魂が大事だと岡田さんも言っていました。僕もワールドカップでは、特に国を背負って戦うところで戦術ももちろん大事だけど、それを超えるのは魂の部分とか、戦う気持ちがないと、W杯に足もとをすくわれる(と思う)。それは自分の経験からも感じています」
今回の最終予選、日本は無敗で出場権を獲得するに至った。まさに順風満帆。大きな期待を集めながら惨敗した2014年のブラジルワールドカップの例を引き合いに出し、長友は自戒を込めて語った。
「きょうも何人かの選手とお茶をしたというか、話していたんですけど、その話(ブラジルW杯)がちょうど出て、失敗じゃないけど、自分の気持ちも含めて自信が過信だったと気づかされた大会だった。その部分ではこのチームがうまく行き過ぎるのもよくないなと。どこかでうまくいかないことだったり、負けは許されないかもしれないけど、負けて学ぶことがある。そういった意味で足もとをすくわれないようにしないとダメだぞ、と」
堂安律、南野拓実、菅原由勢、板倉滉とそんな話をしたという。数々の修羅場をくぐり抜けた岡田副会長の言葉もそうだが、酸いも甘いも知り抜く長友の言葉もまた、響いたに違いない。