日本代表は20日、アジア最終予選第7節でバーレーン代表と対戦する(19時35分開始/@埼玉スタジアム)。前回対戦は5−0で勝利を収めているものの、相手はガルフカップを制し、アウェーゲームに強い。日本は勝って、北中米ワールドカップの出場権を手にできるか? ここでは対戦相手バーレーン代表を『実力』を探る。

早々と来日して準備も気になるラマダンの影響

画像: 前日会見に登壇アリ・マダン(写真◎舩木渉)

前日会見に登壇アリ・マダン(写真◎舩木渉)

 もう1つ、気になるのはバーレーン代表のコンディションだ。今月7日から国内合宿をスタートさせ、13日に来日して日本で練習を積んできたのには明確な理由がある。冬の寒さへの適応と時差の影響を解消することが勝利を目指す上での至上命題だったのである。

 ただ、前日練習を見ると寒さへの適応には苦労している様子がうかがえる。ほとんどの選手がニット帽やネックウォーマーで顔を隠しながらボールを蹴っており、タライッチ監督も「凍えるような寒さ」と表現していたのは印象的だった。

 また、ラマダン期間中であることも調整を難しくしているだろう。今年の場合、イスラム教徒は2月28日からの約1ヶ月間、日の出から日没まで飲み食いができない。アリ・マダンは「イスラム教徒の選手としてはこの時期に試合をすることには慣れている。今回が初めての経験ではない」とラマダンの影響を否定したが、チームの大半がイスラム教徒のバーレーン代表にとって試合に向けたコンディション調整は簡単ではないはずだ。

 しかし、タライッチ監督曰く「聖なる月」であるラマダンが特別な力をもたらす可能性もある。中東での指導経験が豊富な指揮官は、過去の経験を例に挙げて日本代表に宣戦布告した。

「私には中東のチームでアラブの人たちと、アラブの素晴らしい文化の中で監督をしてきた経験がかなりある。2004年にはサウジアラビアのアル・イティハドで監督を務め、ACL決勝に進出した。その時の決勝の相手は韓国のクラブ(城南一和、現在の城南FC)だった。

 第1戦は我々のホームだったにもかかわらず1-3で負けてしまった。しかし、2週間後に行われたアウェーでの第2戦は我々が5-0で勝って、アジアのタイトルを獲得した。第2戦はラマダン期間中だった。ACL優勝という結果によって、ラマダンが本当に聖なる月だということが証明されているのがお分かりいただけるのではないだろうか」

 もし日本代表が勝利すれば、アジア最終予選3試合を残して史上最速でのW杯出場が決まる。だが、バーレーン代表は真っ向勝負でサムライブルーの偉業を阻止しようと燃えている。

「森保一監督も日本代表も明日は満員のスタジアムで喜びを分かち合いたいだろうが、素晴らしい雰囲気の中で自分たちにも非常にいい試合を見せるチャンスがある。我々はオープンな試合をする。バーレーン代表にはW杯出場のために3ポイントが必要なので、そのために戦う。(明日の試合でW杯出場を確定させるには)数字の上では3ポイントが必要とはいえ、日本代表はすでにW杯出場を決めたようなもので、いつでも3ポイントを取ることができるチームだ。ならば、我々との試合を終えた後の3試合で9ポイントを取ってもらえればいい」

 そう言って豪快に笑ったタライッチ監督は、埼玉スタジアム2002でどんな采配を披露するだろうか。これまで通りアウェーでの強さを発揮し、ラマダンが真に「聖なる月」であると証明できれば「日本代表と一緒にW杯本大会に出場したい」という指揮官の目標に大きく近づけるはずだ。

文◎舩木渉


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