上写真=3バックの右CBとして先発し、フル出場して勝利に貢献した瀬古歩夢(写真◎Getty Images)
1試合1試合の積み重ねが今の順位
前節のインドネシア戦から中国戦は、スタメンが5人入れ替わった。ドイスボランチの一角を守田英正から田中碧に替え、2シャドーの一方に鎌田大地に代わって久保建英が入った。両ウイングバックの2人も、右が堂安律から伊東純也へ、左は三笘薫から中村敬斗に変更された。
そして右CBは、橋岡大樹に代わって瀬古歩夢が務めた。出番を待ち望んでいた瀬古は先発を告げられたとき、「自分の中で(代表)生き残りをかけた1試合になると思った」という。それだけ強い思いを持ってピッチに立っていた。
守備では序盤に相手の抜け出しを阻止するなど対人の強さを示し、攻撃では何度もスペースでボールを受けて久保建英や伊東純也にボールを届けた。だが、2−0とした日本がリードしたあと、後半の出来に本人は不満を抱いていた。
「前半は良かったですけど、後半はちょっと曖昧な部分が自分の中であった。その辺をまたチーム(クラブ)に帰って修正していければと思っています」
曖昧になったのは、「競り合いの部分」。自分よりも背の小さい相手とのバトルに「普通にジャンプしていけると思った。でも結構(ジャンプが)高くて。9番が入ってきて対応を変えたと思うんですけど、それをもっと早い段階からできていれば、危ないシーンをもっと減らすことができたと思う。そこはもう一度、自分を見つめ直したい」。
48分の唯一の失点シーンにも、絡むことになった。相手の左MFシエ・ウェンノンが中央へと進入してくる中で瀬古は中央へとポジションを移動して対応。そこへボールが送られた結果、大外でフリーになっていたリン・リャンミンにシュートを打たれてしまった。この場面、高い位置を取っていたウイングバックが戻りきれず、瀬古は守備で後手に回らざるを得なかった。左から右へとボールを展開させたことも痛かった。
「自分が判断の部分で、一歩引いて、相手がスルーしてきたボールを止めることができれば、結果は違ったと思いますけど、基本的に前から行ったときはマンツーマンなので、(自分の)背後の選手も誰かが行っていたら失点はなかったと思います。もちろん自分が潰していたらそれが一番でしたけど、そういうことも、アジア予選は難しい戦いですから。次は(来年)3月まで代表戦はないですけど、自分の中でしっかりパワーアップしていきたい」
試合は3−1で勝利。日本は次戦、バーレーン戦に勝てばグループ2位以内が確定し、早々とW杯本大会行きを決めることになる。中国戦の勝利で日本はW杯出場に王手をかけることになった。
「1試合1試合、積み重ねた結果が今の順位。次、勝ったら決まるっていうのはもちろんうれしいですけど、そんなことを気にせずに1試合1試合勝ち点3を積み上げていければいい」
瀬古は90分フル出場を果たした。本人が言う通り収穫と課題の両方が出たが、「生き残りをかけた」と位置づけ一戦に臨み、次につながる結果は出したと言える。