上写真=シリア戦の前日練習で汗を流す長友佑都(写真◎佐藤景)
強い思いは誰よりもある
今年3月、カタールW杯以来、代表に招集された。開幕したJリーグで好調を維持し、アジアカップで準々決勝敗退したチームを刺激する存在として、そして代表を誰よりもよく知る選手として、多くを期待されての招集だった。
しかし、ホームの北朝鮮戦でベンチ入りしたものの、出場機会はなく、アウェーの北朝鮮戦は中止となり、長友自身がピッチに立つことはなかった。練習で積極的に声を出し、ベンチからチームを鼓舞する姿は印象的だったが、本人は当然、満足していない。
「やっぱり来るだけじゃないですからね、この場所は。やっぱり戦う場所なんで、ピッチの上にいないと意味はないなという風に僕は思っているんで。もちろんピッチ外でもね、たくさん僕は、この経験も含めてできることはあるんですけど。ただ選手として来ている以上はピッチで戦わないと意味がない。そこの強い思いとかは誰よりもあるんじゃないかなとは自分では思っています」
そんな思いとは裏腹に、今回の活動は初日から負傷を抱えており、別メニュー調整が続いた。しかしそこは経験豊富なベテランだ。
「フルで合流はしていますね。昨日(9日)からかな。昨日からはしているんで、準備はもちろんできているんですけど、心はもういつでも万全です」
シリア戦に向けてしっかりコンディションを上げて、全体練習にも復帰した。先発するかどうかはわからないものの、途中出場する可能性はありそうだ。
「次はないという思いで僕は来ています。代表に入っていた15年間は選ばれるだろうと思って危機意識はいまほどなかったと思う。(でも今は)本当に次はないという気持ちで戦っています」
最初に代表のピッチを踏んだのは2008年5月。あれから16年の歳月が流れ、代表における立場は大きく変わった。より大きな危機感を抱くようになったが、根底にある代表に対する思いに変化はない。
「後がないというか、いつも言うけど、大げさかもしれないけど、生きるか死ぬかの戦いを常にしている感覚がある。緊張感もあって、練習だけじゃなくホテルの生活でもかなり高ぶるなかで自分を奮い立たせながらやっている」
代表は、戦う場。その思いを持つ者だけが、青いユニフォームを纏う資格があると長友は言った。