日本代表は15日、豊田スタジアムでエルサルバドル代表と対戦する。森保一監督は2日前の練習で採用した4−1−4−1(4−3−3)で臨むことを示唆。アンカーは守田英正が務めることになりそうだが、その起用はチームの課題であるビルドアップを改善する一手になり得るか?

上写真=14日に豊田スタジアムで行われた前日練習。ボール回しに参加する守田英正(写真◎サッカーマガジン)

自信はあるし、できることに集中したい

 森保一監督は15日のエルサルバドル戦について前日会見で「4−1−4−1でスタートすると現段階では思っている」と説明。2日前のトレーニングの中で実施した11対11のミニゲームで採用していた形で臨むと示唆した。カタールW杯前のアジア最終予選の途中から4−1−4−1を採用した際にアンカーを務めたのは遠藤航だったが、今回は守田がその役割を担うことになりそうだ。前述の練習では左のインサイドハーフに旗手怜央、右インサイドハーフに堂安律が入り、守田はその後方でプレー、逆三角形を形成した。

「航くんと比べたら守備のところで劣るというのは自覚していますが、スペースの管理だったりとか、リスク管理、ビルドアップのところで違いを作れたらなと思います」と、新キャプテンの遠藤とは異なる特徴をピッチ上で表現したいと守田は話した。

 川崎F時代にアンカーとしてプレーし、後方からボールを引き取って攻撃を形作ったり、ワンタッチでボールを展開して攻撃を加速させていた守田のアンカー起用は、遠藤とはまた別の循環を生む可能性がある。

「僕がアンカーで意識しているのは、やっぱりインサイドハーフの選手にどれだけ気持ちよくボールを持たせてあげるか。その選手たちにプレーエリアを与えてあげたりだとか、彼らはボールを持って運ぶ能力もあるので、僕が主役になる必要はないと思っています。あとはサイドの2列目の選手が今の代表の強みだと思っているんで、彼らを中心にボールをうまく保持して押し込めるような展開を作っていきたい」

 2日前の練習では左ウイングに三笘薫、右ウイングを久保建英が務めた。右には伊東純也もおり、森保監督も「現在の日本の武器はウインガー」と繰り返し話している通り、その強みをいかに最大化させるかが日本の攻撃面におけるポイントだ。さらに守田はこんな考えも明かしている。

「律とタケ(久保建英)のコンビネーションとか、今まで培ってきたものがあって、(2人は)言わなくてもわかる(間柄だ)と思うんですけど、右をできるだけフリーにして、彼らを気持ちよくさせるかだと思っています」

 東京五輪代表やUー20代表などアンダー世代から関係を築いてきた堂安と久保のユニットを生かすことも、日本の強みになるというわけだ。

 現在所属するスポルティングで守田はアンカーとしてプレーしていないため、「久しぶりなので、やってみて自分がどういったプレーできるかは自分でもちょっとよくわからない」部分もあるという。ただ、「自信はありますし、自分にできることにしっかり集中して、ビルドアップのところで違いを見せられたら」とも話す。3月シリーズの反省として縦パスが入らなかった点をチームとして共有しているが、守田のアンカー起用はその一つの解決策になるかもしれない。

 前回の活動でダブルボランチの一角でプレーした守田はビルドアップの局面で「本来はボールをもらうためにあまり下がりたくない」と話していた。守田がボールをピックするために最終ラインに下がること自体に問題はないのだが、中盤より前の選手がその動きに連動していかないと、パスの出しどころが減っているため、最終ラインからボールをつなぐにもつなげないケースが出てくる。理想は、2人のセンターバック、あるいはGKも含めた3人で攻撃の一歩目を踏み出すこと。その上で守田が関わって、たとえばオフ・ザ・ボールの動きによって相手のプレッシャーが弱めて最終ラインからインサイドハーフに縦パスが入る状況を作り出したり、守田自身がボールをスムーズに引き取って2歩目を踏み出す展開に持っていきたいところ。後方でそういう関係が築ければ、ボールは必然的に前へ前へと進んでいく。

 その点、エルサルバドル戦では縦につけるパスや相手のプレスを剥がすためのパス交換を最終ラインから積極的に行うことのできる谷口彰悟の起用が濃厚で、その谷口と板倉滉がセンターバックコンビを組む可能性が高い。川崎F時代からよく知る間柄の選手が後方にいることで守田もプレーしやすい面はあるだろう。

「ケース・バイ・ケースですけど、基本的に(最終ラインに)降りないつもりでいます。限られたスペースの中で自分の特徴を出せると僕は思っているんで、そこは自分にもある意味、何か課すじゃないですけど、甘んじて後ろに下がって、前向きでボールを受けたいというよりかは、相手を一枚引きつけたりとか、狭い中で相手を密集させた中で、インサイドハーフとかウイングの選手のポジショニングに優位性を持たせてあげるというか、そういうことを意識して簡単に下がりたくないと思っています」

 左インサイドハーフの旗手とはすでに「相手との兼ね合いの中で、同じラインまで降りてきてほしいときと、ちょっと待っていてほしいときと、あとはサイドに流れてボールを受けたりとか、1回スペースを空けてフォワードへのルートを作ってほしいとか、僕目線の意見と、彼目線の意見とをすり合わせた」という。川崎F時代から左の大外に構える三笘の生かし方をよく知るのも、守田だ。旗手がタイミングよくルートを開いて守田がズバッと左に展開する。等々力陸上競技場のスタンドを何度も沸かせてきたかつてのプレーも見られるかもしれない。

 相手との噛み合わせや状況によって、ゲームの途中で4−2−3−1に陣形を変える可能性もあるが、背番号5を背負いアンカーを務める守田のポジショニング、プレーエリア、そしてそこでの振る舞いは、間違いなくエルサルバドル戦のポイントの一つになる。

取材・文◎佐藤 景


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