上写真=長友佑都が生き残りをかけて、ブラジル戦へ魂を込めて戦う(写真◎JMPA江本秀幸)
新ライバル伊藤洋輝は「代表初戦とは思えない
6月2日のパラグアイ戦で、伊藤洋輝が左サイドバックとして最高のデビューを飾った。長きに渡ってこのポジションの第一人者である長友佑都は、そのパフォーマンスを褒め称えた。
「代表初戦とは思えない素晴らしいパフォーマンスでしたね。物怖じしないし、ドイツでしっかり試合に出て活躍している自信がみなぎっていて、スケールの大きい選手だなと感じました」
後半は中山雄太がこのポジションを担当し、若き2人とのポジション争いになることが明確になった。「しびれる展開ですね。数々の逆境を乗り越えてきましたし、面白いことになるんじゃないかな」と、長友はいつものように激しい競争を待ち望んでいる。
自らの現在地は厳しく見定めている。
「レギュラー争いでも、ワールドカップのメンバーに入るのも、ギリギリの戦いで、首の皮1枚でつながっている状態です」
「メンバー入りの争いを含めて、生きるか死ぬかだと考えています」
ポジション争いのその前に、ワールドカップ行きすらわからない状況にあるという自己分析。酒井宏樹が負傷で今回は選出外で、菅原由勢も負傷のため離脱したこともあって、トレーニングでは右サイドバックでも試された。今季、FC東京でもプレーしているから戸惑いはない。
「右で出るかどうかはわからないけど、サイドバックは左もできて右もできて、(3-5-2の)ウイングバックもできるというのは、メンバー入りする上で大事な要素だと思っています。左の長友という印象があると思いますけど、右もできるぞということで、新しい長友を見せられるように頑張りたい」
右サイドバックとして出場することになれば、対峙するのは左サイドのアタッカー、ヴィニシウス・ジュニオールになるかもしれない。「世界でもエムバペかヴィニシウスかという選手で、バロンドールを取ってもおかしくない、ノリにノッている選手」と長友ももちろん一目置く。
「相手が強くなればなるほど、モチベーション高く燃えてくるので楽しみです」と心待ちにするが、どうやって止めるかは見どころだ。
「寄せて前を向かせない守備をしますが、彼がいい形でスピードアップしているときはうまくスペースをつぶしながら、いつ勝負するか、味方のフォローを待ちながらどこで奪うかを考えたい。世界のトップと対戦してきた肌感覚は残っているので、その経験を生かして戦いたい」
もちろん、自由にやらせるつもりはない。そして、しっかり封じることができれば、自らの現在地もワールドカップにぐっと近づけることができるはずだ。