オーストラリアを2-0で下し、カタールW杯出場を決めた日本代表のDF山根視来が試合後、取材に応じた。三笘薫の先制ゴールをアシストしたプレーについて振り返り、かつて川崎フロンターレで「一緒にやってきた」強みを生かせたと語った。

上写真=W杯出場のかかった試合で先発し、勝利に貢献した山根視来(写真◎Getty Images)

宏樹くんがいなかったからと言われたくなかった

「勝ってこんなうれしいのは久しぶりというくらい、うれしかったです」

 W杯出場がかかる大一番に先発した山根は試合後、素直な感情を口にした。今回は、長く日本代表の右サイドバックとしてプレーしてきた酒井宏樹がケガで不在。すでに昨年11月に最終予選でプレー済みの山根だったが、W杯出場のかかる大一番にかかるプレッシャーは比較にならないほど大きなものだったに違いない。

「プレッシャーをすごく感じていましたけど、自分の中で『逃げるな』と言い続けていた。得点かアシストというのは自分の強みを出す、少々リスクがあってもゴール前に入っていくというのは決めていた。それが今日は堂々とできたのではないかと思います」

 試合終了間際の89分だった。右サイド深い位置で原口元気からパスをパスを受けた山根は、ボックス内に走り込んできた守田英正にパスを送った。そして自らも守田によっていき、ポケットと言われるペナルティーエリアの角へ走り込む。リターンパスを受けると、ラインギリギリの場所から中央へ折り返した。山根のクロスに反応していたのは三笘薫。山根、守田、三笘が同じ絵を描き、オーストラリアからゴールを奪い取った。

「横目で守田と目が合ったとき、絶対に入ってくるという確信があったので、感覚だけでアウトで出して、もう1回当てて入っていくという、川崎Fに来てからずっとやってきたことを表現しました。クロスに関しては薫が絶対にあそこにいるといると思っていたので、無理な体勢でしたけど無理やり上げて、薫らしく決めてくれた。去年、一昨年と一緒にやりましたけど、あいつが入ってくるポイントと僕が上げるポイントは意思疎通ができているので、今日はそれが点につながったのでよかったです」

 川崎F時代にピッチ上で何度も描いてみせたコンビネーションだった。「一緒にやっていたからこそ守田とのプレーも、薫とのプレーもそうですけど、そのアドバンテージが一つオーストラリアの守備陣を上回ったかと思います」と山根自身も勝手知ったるユニットとしての強みを表現できたと振り返った。

 自らの持ち味を出した山根は、酒井宏樹不在の重圧にも打ち勝った。試合後には、こう率直な思いを語っている。「日本の右サイドバックはずっと宏樹くんがやってきて、この大一番にいないということで『大丈夫か」と思った人はたくさんいたと思うし、その中で宏樹くんがいなかったからとは言われたくなかった、自分ができることだけをしっかり表現しようと、ずっと準備してきたので本当に勝てて良かったなと思います」。酒井不在の在を感じさせることなく、日本の右サイドバックに山根視来がいることを示してみせた。

 むろん、この試合ですべてが変わるわけではない。ここからが大事になることは山根本人も重々承知している。ただ、「生きている心地がした」と振り返ったヒリヒリするような経験が、山根の今後のキャリアにとって、そして日本代表にとっても大きな財産になったのは間違いない。


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