上写真=中山雄太は62分から登場し、ボール奪取から三笘薫へのパスでゴールにつなげた(写真◎Getty Images)
■2021年11月16日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選・B組第6節(@オマーン)
オマーン 0-1 日本
得点:(日)伊東純也
「薫のおかげでいいパスのように見えた」
81分の伊東純也ゴールは日本を2位に押し上げる最高のシーンとなったが、中山雄太にとっては別の意味でとても重要なアクションだった。
伊東が押し込んだボールは、左から三笘薫が抜け出して送ったもの。その三笘に預けたのが中山だった。高い位置にポジションを動かして素早いトランジションから奪った、理想通りのプレーだったと胸を張る。
「チームとして2次攻撃につなげるのは練習からも言われています。オリンピックでの反省として、前が薫のときも相馬(勇紀)のときも、縦に速い選手に対しては『行ってこい』という状況が多かったんですけど、そうではなくて、できるだけついていって、追い越して2対1の場面を作れればいいですし、そうでなくても失った状況で2次攻撃を続けられるポジショニングを探っていました」
この日も後半途中からの出場となり、左サイドバックの長友佑都に代わってプレー。0-0のスコア、62分からという時間帯、前にいるのはドリブラーの三笘、という状況で考えたのは「ついていく」ということだった。まさしく得点に至るシーンでは、三笘が左から勝負を仕掛けてセンタリングを送ったがブロックされ、それを相手がつなごうとしたところで中山が風のように現れて奪った。
「どれぐらいの距離であればいいのか、どれぐらいのスピードが適切かを探っていて、その意識が最近クリアになってきました。得点シーンもそうですけど、それを想定した中で奪い取って得点につなげられたと思います。前にいるのがどんどん仕掛ける選手であれば続けていきたい」
見事な寄せで奪いきってから優しく縦の三笘にパスをしたのだが、これは「弱かった」と苦笑い。
「パス自体は僕の中では弱くて、薫のおかげでいいパスのように見えたんだと思います。良かったのはトランジションのところで、そこは自分に対して評価したいのと同時に、パスの質のところは薫に助けられました」
逆に弱かったことで一瞬、相手の重心を動かしたとも言えるが、細かいところまでこだわるのが中山のやり方だ。
一方で、前後でコンビを組む相手が、例えば南野拓実のように中に入って受けてさばいてまた出ていくタイプであっても、しっかりとパートナーとして貢献したいという欲がある。
「拓実くんとか別のタイプの選手に関しても、外のレーンでプレーするシーンも多くなると思いますけど、組む選手によってバリエーションを広げるのが課題です。自分が上に行くためには突き詰められる部分ではあります」
そうやって、いろいろなプレーができることが、サイドバックとして理想のスタイルだ。
「抽象的ですが、守れてゲームを作れてなおかつ上下動もできるのを理想としています」
そこにたどり着ければ「誰と組んでもバリエーションが出せる」からだ。この日の三笘ともそうだし、南野とも、浅野拓磨とも、また別の誰かとも。そうすれば「いままで日本にいなかったタイプの選手になる」と思いを馳せる。その理想の姿をこれからも追いかけていく。