日本代表の遠藤航がW杯アジア最終予選のベトナム戦を翌日に控えた10日、オンラインで取材に応じた。日本は10月12日のオーストラリア戦では4-3-3を採用して今予選の2勝目を挙げたが、アンカーを務めた遠藤は大きな可能性に触れつつ、さらなる向上のためのポイントについても語った。

上写真=8日に日本経由でベトナム入りした遠藤航。写真は9日の練習時のもの(写真◎JFA)

やりながら色んなオプションを増やせれば

 日本は10月シリーズのオーストラリア戦で4-3-3を採用し、遠藤は逆三角形に配した中盤でアンカーを務めた。左右のインサイドハーフを担った守田英正と田中碧が、最終ラインからボールをピックするためにたびたび後方に下がる中で、遠藤自身は「サコくん(大迫勇也)のサポートを考えていた」という。「僕はアンカーでプレーしましたけど、モリ(守田英正)とかアオ(田中碧)が若干、引き気味で受けたときに、自分が高い位置に行って逆三角形をつくる感じでサポートできたらいいなというか。前に関わるタイミングというのは、2人の立ち位置によって自分も変えないといけないなと思っていた」。その結果、縦パスを何度も前線に入れることになった。

 4-2-3-1では1トップの大迫のそばにトップ下の選手がおり、孤立を避けやすいが、3トップの場合、両ウイングとインサイドハーフとは物理的な距離があるがため、1トップをサポートする意識が欠かせない。ビルドアップのために下がる田中や守田に代わってたびたび前にポジションを取ったのはそんな意識からでもあった。所属するシュツットガルトでも「8番」の役割を担う遠藤は、攻撃面の貢献も求められており、その意識を代表に還元したと見ることもできる。オーストラリア戦では遠藤が高い位置でボール奪取に成功し、そのまま攻撃につなげるプレーも見られた。田中と守田の能力が発揮されたことともに、遠藤の持ち味も発揮されたのがオーストラリア戦の中盤だった。

 ただ一方で守備面では課題も出たと指摘する。「オーストラリア戦もどうやってハメにいくかというやり方について話はしていましたけど、やったことがないシステムで、プレスのかけ方も新しいチャレンジでした。失点につながったシーンも、あのシステム上の一番ミスマッチが起きやすい場面で、はがされた」。同試合における日本のプレスの狙いは、相手のCBがボールを持った際に左右ウイングの南野拓実と伊東純也がそれぞれのサイドバックにボールを出させないように外へのパスコースを切りながらプッシャーをかけ、中へボールをはき出させて、中央エリアで取り切るというものだった。

 失点につながるFKをゴール正面で与えることになった場面では、ボランチ経由で外に展開され、フリーで相手の右サイドバックにボールを持たれることになった。慌てた長友佑都が前に出てプレッシャーをかけにいったが間に合わず、日本の最終ラインも長友の動きに合わせてスライドし切れずに、結果として深い位置まで進入を許すことになった。相手ボランチにプレッシャーをかけにいっていた守田が全速力で帰陣したものの、結局、自陣ゴール正面でファウルを犯すことになってしまった。

「相手のサイドバックが低い位置でボールを受けたときに、サイドバックがどれだけ高い位置までプレッシャーに行くのか。(長友)佑都くんとも話しましたけど、佑都くんが行くのであれば、やっぱり後ろは連動しなければいけないし、ステイするのであれば、もう1回ブロックを敷くという判断もチーム全体としてある。所属先で、それぞれやり方が違うので、ああいう現象が起きたときにどうだったかという話し合いをするのは大事。やりながらチームとしていろんな形、オプションを増やせればいいと思います」

 これまでの4-2-3-1であれば、サイドハーフが対面する相手のサイドバックをマークしていた。ただ前回の4-3-3採用時には、リバプールで南野が、川崎F時代に田中や守田が経験しているプレッシャーのかけ方を実践。ほぼぶっつけ本番のトライだったこともあり、当然ながら改善の余地はある。例えば自身がアンカーと務める際には、インサイドハーフが「絞り過ぎない」立ち位置を取り、サイドバックにプレスに行けるポジショニングをすることが望ましいとの考えを語った。それは「(相手が)中に来る場合には僕がアンカーでいる。縦は自分と、うしろにCB2枚いるので俺らのところで潰せればいい」からだ。

 いずれにせよ、4-3-3を採用する場合、中盤の3人の関係性が肝になる。ピッカーとしての機能性やビルドアップ面の効率を考えれば、守田と田中のどちらかがアンカーに入り、ボール奪取力や縦パスの意識を考慮して遠藤がインサイドハーフを務める形もありかもしれない。

「中盤の3枚はこの間はボランチ的な選手が出たので、どうなるか分からないですけど、攻撃のところで、引いた相手をどう崩すかが課題になってくると思う」

 ベトナム戦はどんな陣形で臨むのか。守備的に戦うであろう相手に、遠藤がどんな立ち位置でどんなプレーを見せるか、注目される。


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