上写真=前田大然は久々の代表で練習から100パーセントの力を注ぐことを誓った(写真◎スクリーンショット)
「練習から思い切りがむしゃらに」
伊東純也に浅野拓磨、古橋亨梧、三笘薫もいて、そして前田大然。ワールドカップ最終予選のアウェー連戦、ベトナム戦とオマーン戦に臨む日本代表のメンバーに、森保一監督はスピード自慢の選手を揃えた。
追加招集の堂安律も含めて計28人をセレクトしたのは、気候やピッチコンディションなどの環境や、コロナ禍におけるメンバー入れ替えなどリスクマネジメントの一環と指揮官は説明したが、スピードスターをこれだけ揃えたことは意味深い。伊東はゲンク(ベルギー)で不動のレギュラーで森保ジャパンの中心選手、浅野は直近の最終予選、オーストラリア戦で2-1の勝利をもたらす値千金のシュートで決勝点となるオウンゴールを誘った。古橋は夏にセルティック(スコットランド)に移籍して大ブレイク、11月7日のダンディー戦でも2ゴールを挙げていて、三笘薫もこの夏に移籍したユニオン・サンジロワーズ(ベルギー)ですでにハットトリックを演じるなど、いずれも好調だ。
もちろん、前田も負けてはいない。2019年のコパ・アメリカ以来の代表復帰となるが、このときは東京オリンピックに向けた強化の色が濃かった。だが今回は「チームで結果を残して代表に来た」という自我にあふれている。その東京オリンピック後は14試合で11ゴール、11月6日のJ1第35節FC東京戦では今季2度目のハットトリックを達成、ほかに3ゴールに絡むなど、8-0の大勝の中心になった。
ゴール量産のきっかけは東京オリンピックだったという。森保監督の下でメンバー入りしたものの、3試合に途中出場して得点は1のみ。「僕を含めて攻撃陣が点を取れなかったので、チームに帰ってからゴールへの意識が強くなった」とメンタルを研ぎ澄ませた。久々の代表で、しかも最終予選で4試合を終えて2勝2敗、得点はわずかに3で、グループ4位という苦境にあって「ゴールを見てもらいたいと思います」と狙いは明確だ。
FC東京戦では久々に3トップの中央で先発出場して、「自由に動ける」ことが持ち味を引き出したと振り返っていた。日本代表も前回のオーストラリア戦では4-3-3システムで戦ったし、それまでの4-2-3-1の布陣でもセンターフォワードは重要なポジション。大迫勇也という絶対的な存在がいるが、Jリーグで21得点を挙げてランクトップを走る勢いを日本代表にもしっかり組み込みたい。
オリンピックでは森保監督からなかなか出番が回ってこなかったが、「目に見える結果を残していないと使われないと思う」と分析している。Jリーグではゴールもアシストも積み重ねてきた。「練習からしっかり目に見える結果を残せればいい」「練習から100パーセントの力でやるので、練習から思い切りがむしゃらにやって見せていきたいと思う」と、今度はその力を目の前で森保監督の心に焼き付けるつもりだ。
快足クインテットもスピードの質は人それぞれ。「単純なスピードや、それを繰り返せるところは武器なので、それを競うのではなく全員で使っていければいいと思っています」と、狙うのは速さを掛け合わせて生まれる相乗効果。例えばそれは、FC東京を粉砕した横浜FMの「前田×仲川輝人×エウベル」で実証済みだ。
まずはベトナムとのアウェーゲームで、あの爆発力を再現してみせる。