上写真=ドイツへの移籍、日本代表への選出。急激な成長を見せる田中碧が自信のコメントを残した(写真◎スクリーンショット)
「要求することがあれば言わなければいけない」
田中碧が再びブルーのユニフォームを身にまとう。川崎フロンターレからこの夏、ドイツ・ブンデスリーガ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフに移籍して、初めての日本代表の活動になる。
日本代表の一員としては、2019年12月のEAFF E-1選手権の韓国戦と香港戦でプレーしただけ。だが、森保一監督の下で東京オリンピックでは6試合すべてに先発出場。オーバーエイジでチームに加わっていた遠藤航とのコンビネーションも確立されている。他にもオリンピックチームからは、同じくオーバーエイジだった吉田麻也と酒井宏樹のほか、板倉滉、中山雄太、冨安健洋、橋岡大樹、三好康児、堂安律もいて、オリンピックからの「格上げ」に違和感はない。
だがそれでも、田中自身にとっては新しいステージでの挑戦だ。
「小さい頃から目指していた場所ですし、光栄なことと思っています。選ばれることもそうですが、試合に出ることが、勝利に貢献することが目標です。ここから時間はないですけど、自分らしさを出したい。素晴らしい先輩がたくさんいるので、吸収できればと思っています」
初々しい1年生のような謙虚さだが、あくまでワールドカップ最終予選、アウェーのサウジアラビア戦とホームのオーストラリア戦という、とても重要で困難な連戦でのメンバー入りだ。覚悟がある。
「まずは自分自身のプレーで示さないと何を言っても意味はないと思います。何ができるかを示しながら、要求することがあれば言わなければいけないですし、そのためにピッチで『田中碧』を表現できるかが一番大事で、信頼につながっていくので、1回1回の練習を大切にしたい」
田中碧が分析する田中碧の特徴はどこにあるだろう。
「どこで受けてボールを前進させるかだったり、ゲームをうまく作るところというかゲームの流れを作るところは、ボランチでプレーしたら出せればいいと思っています。守備でもまだまだ足りないけれど、より強くいける部分はドイツで少なからず足りないと感じる一方で、少しずつ手応えは感じています」
流れを作る、というのは、まさにそのポジションに求められる最優先事項だが、日本代表のボランチでは今回、遠藤のほかに、柴崎岳、守田英正も顔を揃えていて、争いは激しい。
「僕にないものを持っている選手ばかりですが、僕もそういう選手たちにないものを持っていると思いますし、流れを循環させるプレーは自信を持ってやれます。前につけるボールは、一発のスルーパスは得意ではないけれど、くさびや裏へのボールは勝負できると思っているので、その良さを出していければと思っています」
東京オリンピックでは強気の姿勢と尽きることのない運動量で、世界に一歩も引かずに戦った。その力強さを日本代表でも見せてほしい。