上写真=南野拓実からも笑顔が絶えない今回の3月シリーズ。充実の日々を過ごしているようだ(写真◎JFA)
「トップ下が一番やりやすいポジション」だが
3月25日の日韓戦では2列目の3人の配置は、右から伊東純也、鎌田大地、南野拓実だった。その関係性を、鎌田はこんな風に振り返っている。
「拓実くんと話していたのは、拓実くんが中に入ってきたら外に行くし、純也くんを外に張らせてオレも右に入って、2枚でトップ下が理想だと。拓実くんが左でしたけどやりづらさもなかったし、拓実くん自身もやりづらそうではなかったので、うまくできたのかなと思いました」
実際に、南野としてはどんな意識だったのか。
「僕は中でプレーしたいタイプなので、大地とポジションがかぶらないようにしようと話していました。大地も周りを見ながらポジションを取ってくれていましたし、僕も大地のポジションにかぶらないようにプレーしようと心がけていました。大地のポジション取りでカウンターのときにうまく使ってゴールにつながりましたし、割とうまくいった部分がありました」
韓国戦の2点目は確かに右寄りのポジションにいた鎌田が、大迫勇也のキープから飛び出していってそのまま決めたものだった。右には伊東純也、左から中央に南野が入っていって、「Wトップ下」の関係性が生きた好例だった。
南野が中でプレーするとなると、左のワイドのエリアをどう崩していくのかがもう一つのテーマになる。南野がうまく相手を中に釣り出せば、左が空く。
「そうなったら、サイドバックが上がっていければいいと思っています。韓国戦で言うと、右は純也くんがサイドに張って縦に仕掛けられる選手で、もちろん中でもプレーできますけれど、大地が自分たちから見て右のトップ下のエリアを使えます。僕が左のスペースを使えばサイドバックが左の外をうまく使っていければいいと思います」
本来は中央からゴール前の狭いスペースに潜り込んで素早く鋭くフィニッシュを仕掛けるのが得意な選手。自己分析も「どちらでもプレーできますし、トップ下が一番やりやすいポジション」だ。そこに、今回の3月シリーズで見せた「伊東の右ウイング」+「南野と鎌田のWトップ下」が楽しみなオプションとして浮上してきた。だから南野も「チーム(サウサンプトン)でもいま左でプレーしていますし、どこでプレーしてもチームの力になりたい」とイメージをふくらませている。
「試合によっては僕ももうちょっとワイドに張って、大地のスペースを空けて、彼が自由に使えるようにすることも必要になってくると思っています。次の試合は押し込む時間が長くなるなら、もう少し僕と僕のサイドのサイドバックとの関係性を攻撃的にして、サイドバックが高めにポジションを取ってもいいんじゃないかと思います」
ワールドカップ2次予選のモンゴル戦は3月30日。実力差は大きいとはいえ、公式戦だからまずは勝利を確実に手にすることが最大の目標だ。その上で、鎌田との距離感を近づけたり離したり、自らが中央に潜り込んでサイドバックに外を走らせたり、逆にワイドに張ってサイドバックに中を使わせたり、という攻撃のコンビネーションの構築に使うことができれば、さらにバリエーションが増えることになる。