上写真=タフな中国を上回り、日本が大会連覇を達成した(写真◎JFA)
■2022年7月26日 E-1選手権 女子 第3戦(カシマ/901人)
日本女子 0-0 中国女子
タイトルを取った成功体験を喜びたい
球際で奪って、セカンドボールを奪って、そしてタイトルを奪った。
「勝てたら最高だったけどうれしいです。勝ちぐせをつけていきたいと言ってきて、今日は勝てなかったけれど、2勝1分けで1年後のワールドカップに向けていいスタートが切れたと思います」
大会MVPに選ばれたキャプテンの清水梨紗は、微笑みとともに優勝をかみ締めた。
日本女子代表の池田太監督がこのチームに植えつけてきたコンセプトは「奪う」。それを遠慮なくチーム全体で表現して、2勝1分けの勝ち点7で大会連覇に成功だ。軽やかなパスワークで押し込むのはいつもどおり。だが、「強さ」が際立った上での軽快さだというところが、なでしこジャパンの世界への進化形である。
「強い」なでしこジャパンのパワーは、すぐに見せた。少し様子見の序盤を超えて、10分過ぎからはほぼ日本のリズム。いつものパスワークでテンポを作るのはもちろんなのだが、その前に、例えば先発で起用された千葉玲海菜の粘り強さのように、あちこちのバトルでタフなはずの中国を余裕で上回って、ボールを回収していった。
植木理子は「個人の勝負で負けてはいけないと改めて提示されてチームの約束事になり、それがつながって試合でいい形で出たと思います」と胸を張った。
そこから11分に宮澤ひなたのミドル、21分に長野風花のミドル、31分に宝田沙織のヘッド、39分の宮澤の至近距離からのフィニッシュと、何度もゴールに迫った。シュートに至る直前までのチャンスはさらに多く作っていて、主に右サイドを15分、19分、33分と崩していった。
引き分けでも優勝が決まる日本は、それでも後半も攻めの姿勢を貫いた。最もゴールに近づいたのは51分。植木理子が右からのスローインを受けてそのまま中に持ち込んで左足でミドルシュートを放ったが、惜しくもバーをたたいた。
54分、セカンドボールを長野が拾ってから右に展開して崩し、千葉の折り返しのクリアミスを最後は左から入ってきた宮川麻都がミドルシュートを放ったシーンがある。これこそ、このチームの真骨頂だろう。相手よりも先に反応してルーズボールを回収し、素早くサイドの深くを取り、逆からゴール前に入ってきたサイドバックがフィニッシャーになる。ゴールにはならなかったが、世界で戦うための素地ができてきたことを示した。
このあとも59分に千葉がボレーシュート、70分にカウンターから植木が左からカットインして右足で狙い、76分にも成宮唯が相手の股下が開くのを待つテクニカルなフィニッシュを放つなど、最後まで攻めたが、結局0-0のままタイムアップ。
「選手たちが1試合1試合、成長してくれたし、いろいろな選手が躍動してくれて成果のある大会でした」
「今日は課題のことよりも、みんなでタイトルを取った成功体験を喜びたいと思います」
勝利で優勝とはならなかったが、なでしこジャパンとして自身初タイトルを手にした池田監督の充実の言葉が、1年後のワールドカップへとつながっていく。
現地取材◎平澤大輔 写真◎JFA
EAFF E-1 サッカー選手権 2022 決勝大会 女子結果
◆2022年7月19日
日本 2-1 韓国
得点:(日)宮澤ひなた(33分)、長野風花(65分)
(韓)チ・ソヨン(59分)
◆2022年7月20日
中国 2-0 チャイニーズ・タイペイ
得点:(中)張琳艶(12分)、オウンゴール(22分)
◆7月23日
日本 4-1 チャイニーズ・タイペイ
得点:(日)千葉玲海菜(14分)、上野真実(45+3分)、清家貴子(58分)、菅澤優衣香(72分)
(チ)蘇 芯芸(8分)
中国 1-1 韓国
得点:(中)汪琳琳(76分)
(韓)チェ・ユリ(34分)
◆7月26日
韓国 4-0 チャイニーズ・タイペイ
得点:(韓)イ・ミンア2(35分、40分)、カン・チェリム(38分)、コ・ミンジョン(90+1分)
日本 0-0 中国
最終順位
チーム名 点 勝 分 敗 得 失 得失
1 日本 7 2 1 0 6 2 +4
2 中国 5 1 2 0 3 1 +2
3 韓国 4 1 1 1 6 3 +3
4 チャイニーズ・タイペイ 0 0 0 3 1 10 -9