上写真=決勝点を挙げた長野風花。仲間から祝福される(写真◎小山真司)
理子が突破してくれると信じていた
ゴール前に人数がそろっていながら、韓国の10番、チ・ソヨンに反転シュートを決められて同点に追いつかれた直後だった。日本の10番が、自身にとっての代表初ゴールでその力を示す。
右サイドで植木理子が粘り、ボックス脇からボールを運ぶと、中央へグラウンダーのクロスを供給。そこ走り込んだのが長野風花だった。相手が寄せるよりも早く右足を振り抜き、ゴールを射抜いた。試合開始直後から仲間が韓国の厳しい寄せに消極的なプレー選択を見せる中でも、まったく慌てることなく正確なコントロールとパスを披露。攻撃のリズムをつくっていた。この得点の場面では一歩先の展開を予測して相手よりも早く動き出し、正確な技術でネットを揺らしてみせた。
「苦しい時間帯もありながら、しっかり点を取れて勝ち切れたのは良かったです。理子が突破してくれるのは信じていたので、しっかり(中に)入れたのも良かった」
試合後のフラッシュインタビューでは仲間を称えることも忘れなかった。U-17、U-20W杯では優勝を経験し、世界で戦う重みを知る。前体制ではほとんど招集されることがなく、代表の主軸を担うことはできなかったが、アンダー時代から代表で指導を受ける池田太監督体制になってからは文字通りの中心選手として存在感を発揮している。先日、所属するマイナビ仙台からプロリーグNWSLのカレッジに移籍することが発表された。さらなる成長を求める強い思いで、代表のユニフォームをまとう。
「まだまだチームとして良くなる部分があるので、まだまだ良い内容で勝ち切れるように」
初戦を白星で飾り、次戦は20日のチャイニーズタイペイ戦。長野は内容にもこだわり、チームを高めたいと言った。長野は今、自らが望むように一歩、また一歩と「チームを勝たせることのできる選手」に近づいている。