上写真=宮澤ひなたが韓国のエース、チ・ソヨンと争う。アジアの舞台で守備でも成長している(写真◎AFC)
■2022年1月27日 女子アジア杯GS第3戦(インド・プネー/無観客)
日本女子 1-1 韓国女子
得点者:(日)植木理子
(韓)ソ・ジヨン
「はがされかけてもついていく」
宮澤ひなたは技巧派MF。今大会で3試合すべてに出場している。池田太監督からの信頼は厚い。
左サイドハーフがベースのポジションだが、いい意味であってないようなもの。その攻撃センスで空いたスペースを発見してはもぐり込み、ボールを引き出してはゴールに迫っていく。
だが、韓国戦ではチャンスを作りきれずに、植木理子の1ゴールにとどまった。
「ボールを持っている時間に、どうやって攻撃のスイッチ入れるか」
宮澤が感じるブレイクスルーへのカギはそこにある。韓国戦こそ強度が高かったとはいえ、3試合とも日本がボールを動かしながら試合を進める展開だった。だが、ボールは持てていても崩せない。韓国ですら、5バックを採用してゴール前とサイドのスペースを人で埋めて、日本を封じ込めに来た。
「ゴール前の崩しや3人目の動きだったり、ボールを持っている時間は長かったけれど得点がまだまだ足りないと思います。コミュニケーションを取りながらやることもですけど、個人としてはもっと仕掛けて足を振ることを意識したい」
ボールを持てば、独特のリズムとスピードで相手を置き去りにする。長谷川唯、植木理子と感性を響かせ合って崩しにかかるコンビネーションは見ていて楽しい。
そんな宮澤がいま、アジアの舞台で求めているのは、「強さ」だ。
「サイドバックやボランチとコミュニケーションを取りながらですけど、守備で自分が奪いに行くのかカバーするのかの判断が大事です。それにまずは、個人として1対1で負けないことや球際での強さはより意識しなければいけないところだと思います」
テクニシャンはボールがあれば何かを生み出せる。そのためには、自分で奪いきってボールをその足元に置かなければならない。攻めるための守り。魅了するための泥臭さ。
「チームとしてはどこが(プレスの)スイッチなのかを共有していかなければいけないですし、個人としてはよりもう一歩前に寄せたり、はがされかけてもついていくことをしなければ」
ノックアウトステージに入っていく大会は、残りは最大3試合。もちろんすべて勝ち抜いて頂点に立つつもりだが、その戦いは同時に、宮澤が技巧に屈強を融合させる時間でもある。