上写真=熊谷紗希とセンターバックでコンビを組むことが予想される南萌華。無失点で頂点まで駆け上がりたい(写真◎山口高明)
「緊張はありませんが、難しい大会だと」
若きセンターバックが「全力宣言」だ。自身初となるアジアカップに向けて、南萌華がきりりと引き締めたその表情に、持ち前の責任感がにじみ出る。
「時間のない中で大会を迎えましたが、限られた時間の中でチームとしてワールドカップの出場権を取る、アジアの頂点を取るという目標に向かって、全員が戦力となって取り組むことができています。今回のアジアカップは、その短い期間の成果を発揮するだけだと思うので、全力で挑みたい」
世界大会の経験は豊富だ。2018年にはU-20女子ワールドカップでキャプテンとして優勝カップを掲げたし、19年の女子ワールドカップ、21年の東京オリンピックにも出場して、目覚ましいステップアップを遂げている。だから逆に、なでしこジャパンの一員としてアジアの大会を戦うのが初めてになる。
「アンダー世代ではアジアの戦いは経験しましたが、A代表では初めてです。新たな気持ちで臨まないといけないと思っています。ワールドカップやオリンピックを経験させていただいているので緊張はありませんが、難しい大会だとは理解しています」
センターバックを任されるだけに、どれだけ世界を知っていようとも、慎重さは崩さない。
ポジション柄、芝生や地面の状態は気になるところだ。練習会場は「少し硬くてボールが弾む印象がある」という。実際の試合会場も大きくは変わらないと見ていて、「一つのパスやロングボールへは、日本と違うようなバウンドは想定できるので、気をつけながら対応しないといけない」と集中して試合に入るつもりだ。攻撃面でも「生命線となる後ろからのビルドアップでは、いつも以上に1本1本のパスを大事にしていきたい」と、同じくていねいさを求めていく。
国際大会では最初のゲームの展開次第で、その先を気持ちよく進んでいけるかどうかが大きく左右される。「初戦が大事だと理解しています」と南もパワーを注ぐつもりだ。
「ミャンマーは迫力あるシュートを持っている選手がいると、スカウティングの中でも出ています。守備の選手としてまずは失点しないように、シュートを持っている選手、スピードのある選手をしっかり止めて、無失点でいきたい」