上写真=合宿3日目。練習中の熊谷紗希(写真◎山口高明)
奪う守備にシフトチェンジしていかないと
20日に開幕する女子アジアカップには2023年にオーストラリアで開催される女子W杯の出場権もかかっている(日本の初戦は21日のミャンマー戦)。熊谷はアジア3連覇がかかることを踏まえた上で、「とにかくW杯の出場権を取るということが一番大きな目的」と話し、「W杯予選を突破するというところにフォーカスしてやっていきたい」と語った。
むろん、ハナから3連覇を狙わないということではない。アジアのトップを目指すのは当然として、熊谷はその先をもしっかり見据えている。「球際での戦いだったり、普段より一歩、ボールに寄せるというところは私自身もオランダ遠征で感じたところですし、監督もずっと言ってくれていること。やっぱり『奪う』という守備にシフトチェンジしていかないと、アジアだけではなく、世界で戦ってはいけない」。
2011年に女子W杯優勝を経験し、日常的にバイエルンで戦っている熊谷にとって、世界の頂点を目指すことが当然なのだろう。チームの立ち上げからまだ2試合しか『実戦』をこなしてない状況でもあり、今はしっかり地に足付けて進んでいくことが肝要ということだ。
そのために池田太監督がコンセプトの一つとして掲げる『ボールを奪う守備』を合宿を通じ、大会で試合を重ねることで深めていきたいと話した。そのベースとなるのが、積極的にコミュニケーションをとることになるとも指摘。「監督やコーチから言われることもありますけど、ピッチで戦う自分たちが納得できるルールというのは一つ持たないといけないと思う。そういうところを全員ですり合わせながら、いい意味でもぶつかり合って、練習の中からやっていければ。私だけじゃないですけど、経験のある選手が言っていくように促したいなと思います」と豊富な代表経験を持つ熊谷らしい発言もあった。
実際、13日の練習では午前も午後もグラウンドに熊谷の声が響いた。仲間のシュートに対しては称賛の声を、そしてミスには叱咤の声が飛んだ。東京五輪で思うような結果を出せず、キャプテンとして悔しさを味わった。120キャップを刻んだ熊谷だからこそ、新生なでしこジャパンで何をすべきか、自身がどう振舞うべきかを誰よりも知る。
「アジア相手だけではないですけど、後ろからしっかりとビルドアップを安定させて、自分自身は球際の戦いに自信を持っているので、そこで積極的に前にチャンレンジするところを見せたい。やっぱりボール奪取できるのは自分の良さだとは思うし、そういう面で、守備でいい流れをつくれるようにしていきたい」
アジアを乗り越え、自身4度目となる女子W杯へ。熊谷の新たな戦いが、間もなく始まる。