上写真=清水梨紗はオランダで合流した海外組とともにコンセプトをすり合わせていく(写真◎JFA)
「懐に行ける回数が少なかった」
新しいチームには、勝利が何よりだ。清水梨沙はそのことをよく知っている。
新しい監督、新しいスタッフ、新しく選ばれたメンバーとともに、新しいコンセプトの下で世界一を目指す長い道のりの最初に、アイスランドとオランダが立ちはだかる。
「勝負事なので勝つのが大事ですし、求めていかなければいけないことです。勝つのが一番大事だと思います」
勝って反省する。その習慣がチームを強くするのだと、清水の経験が指し示す。
池田太監督は「奪う」というテーマを掲げている。ボールを、ゴールを、勝利を奪う。国内組は10月に合宿しているが、海外組を組み入れるのはこれが初めてだから、時間はない。それでも、ピッチで表現できるかが試される2試合だ。
1月には、ワールドカップ予選を兼ねたインドでのアジアカップが控えていて、ここで上位5チームに入らないと2023年のワールドカップに出場できない。アジアの力も上がってきているから、油断は禁物だ。そのための、大事な180分。
「太さんのサッカーの一番のテーマが『奪う』ということで、オリンピックでは奪う回数、チャレンジする回数が少ないという分析が前回の合宿でありました。自分も振り返って映像を見たりすると、懐に行ける回数が少なかったと思います。今回の2戦では個人的にはそこを意識してやりたい」
7月の東京オリンピックではベスト8入りは果たしたが、準々決勝でスウェーデンに1-3と完敗。グループステージでもわずかに1勝しかできなかった。世界との差が開くばかりの焦りと、追い越してやるという強い意欲があふれ出る。「熱さ」は池田監督だけのものではない。
「自分たちが(池田監督の)熱さを超えていくことが大事で、練習からそういうところも磨きをかけられたらいいと思います」
清水梨沙史上最高の熱さを帯びた挑戦が、オランダから始まる。