上写真=時折、笑顔を交えながら取材陣の質問に答えた塩越柚歩(写真◎スクリーンショット)
格上相手に「どれだけ通用するか見たい」
「オリンピック前の貴重な試合ですし、自分自身も経験があまりないという部分で、大事な経験ができる機会。出場すれば、自分自身のプレーがどれだけ通用するのかというのも経験したいですし、チームメイトとのコンビネーションだったり、自分ができるプレーと周りの関係性を築きながら勝負にもこだわって、色んなプラスなチャレンジができたらいいかなと思っています」
五輪前、最後の試合となるオーストラリア戦を翌日に控え、塩越は言った。オーストラリアはFIFAランキングが9位で、10位の日本よりも上位に位置するチーム。6月の活動で初招集され、ウクライナ(31位)やメキシコ(28位)相手に特徴をアピールしてメンバー入りを果たした塩越にとって、初めて対戦する『格上』ということになる。自分の立場を冷静に受け止めている塩越からすれば、チャンレジする格好の機会と言えるだろう。
ただその一方で、チャレンジだけすればいい立場ではないことも理解している。普段から女子サッカーを見ているわけでない多くの人たちが注目する五輪のメンバー入りを果たしたということは、国を背負って、さらには女子サッカーというジャンルの未来も背負って戦うということを意味するからだ。
「オリンピックのメンバーに選ばれてすぐは正直、実感もわかなったかったんですけど、こうやって大会が近づくにつれて、自分がやらなければという思いが強くなっています。いつまでも経験が浅いからとか、少ないからと言い訳できない立場にいますし、自分が一人の戦力になってチームを助けるという部分で、もっと強い気持ちだったりメンタルだったり、持たなければいけないという気持ちになってきています」
五輪の舞台に、経験の有無は関係ない。求められているのは、結果を出すこと。すなわちチームの勝利に貢献すること。アタッカーである塩越にはゴールやアシストが期待される。
試合前には緊張しても実際にゲームに入れば「緊張しないタイプ」だという塩越は、「(5人交代は)ベンチにいたら試合に出る確率も高いですし、日程も日程ですので、本当にチームを助けられるプレーだったり、流れを変えられるプレーを積極的にやっていきたいと思います」と貢献を誓っている。まずは格上オーストラリア戦で自分をしっかり出し、手応えを得て21日の五輪初戦のカナダ戦へ。最終選考の場だった6月の活動ですい星のごとく現れたヒロインは、この夏の舞台でも輝くつもりで準備を進めている。